Uki Dialy

「カラーダイヤモンド専門店 コズミック」店主によるカラーダイヤモンドブログ
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立春
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    東風解凍

     

    昨日、明日は『立春』ということで、何か気の利いた文章を書かねばならないと思い立ちまして、PCに向かったものの、どんよりと曇った空で、気温は高からず低からず、早春という空気の冷たさも感じられず、ということで、ちょっと冴えない気分で、何も書けず、になっておりまして・・・冴えない本当の原因は他に色々あるのですけどね、、

     

    『さあ、今日が立春だ』と、気を取り直しまして、

     

    まず短歌〜

     

         袖ひぢてむすびし水のこぼれるを

         春立つけふの風やとくらむ

            ―紀貫之(古今和歌集)―

     

    ―夏の頃、袖を濡らして遊んだ水辺が、寒さに凍っている。立春となって、今日の春風が少しずつ解かしてゆくのであろうか―

     

    新年が来て1月も半ばが過ぎても、なかなか実感できぬのが昼間の長さ。相変わらずいつまでたっても夜明けが遅いし、夕暮れが早いと感じておりましたね。ようやく少し“日が伸びた”と感じ始めたのは、つい最近のことでありましょうか。ところが面白いもので、極わずかに“感じた”後というのは、次々にまた“感じる”ものですよね。残念ながら“春立つ今日の風”は未だですけども、貫之さんが凍っていると言った水が立春の陽ざしで輝いている。ちょっとした川の流れなんかをチラリと眺めて、『アレっ?!』と感じるなんてことは今の時期によくあると言いましょうか、鶯の初鳴きを聞くような“鮮”で客観的なことではないにしろ、100%主観、自分自身だけの感覚であるが故に、より嬉しいと言いましょうか、誰にも『邪魔されない』小さな喜びであるような気がします。

     

    冒頭の『東風解凍』は、

    ‘こちかいとう’とは読みません、

    “とおふうこおりをとく”でございます。

    そしてこれはもちろん、UKI氏が勝手に作った造語ではありません、「立春」等の『二十四節気』と併用されてきた『七十二候』、その1番目のものですね、御存じの方も多いかと・・・

    ・・ここでまたちょっと疑問が〜

    “春風が氷を解かす”・・・「溶かす」が正しいのでは?

    そうなんですね、「溶かす」と「解ける」、同じじゃない。明らかに使い分けられている、“守備範囲”が違います。なんらかの力を加えて「溶かす」。春風は氷を溶かそうと思って吹いて来る訳ではないから「春風が解かす」。

    しかしですな、「電子レンジで解凍」と言っているぞ!

    この慣用句を作った人は一体誰だ!?

     

    電子レンジとかという物が文章の中に入ってくるだけで、文章全体が野暮なものと感じられてきますね〜・・・

    そう、ここはもう何がなんでも、氷が解ける・・・

    これが春らしい!

     

    「東風(こち)」と言うだけで、日本人の多くは菅原道真の名を思い浮かべることでありましょう・・・・“匂いおこせよ梅の花”、、、

    菅原道真が政争に敗れて大宰府に流される直前に詠ったものとして知られておりますね。京の都(みやこ)では、梅が咲くと東風(ひがしかぜ)が吹いてくるのが普通だったのかというと、そんなことは特になかったし、今でもそんなに普通では“ない”のでは、と言われておりますね。道真公の『東(ひがし)』という言葉の使い方、もちろん非常に文学的芸術的であって、これはもう秀作中の秀作と言うしかないですけども、東の意味が今とは少しニュアンスが異なっていた〜・・・東西南北ではなく、東南西北のそれぞれに春夏秋冬を充てていた、ということでありますね・・・・・

    ウッキーの高校時代からの親友にファーストネームが『和東』という名の男がおります。「かずはる」と言います。珍しい名前ですから、誰もが知り合って直ぐに名前の由来を聞きたがる。“出典”を聞いて誰もが『ほ〜』と感心しておりましたが、何年かして“真実”を知って笑ってしまいました〜・・・もちろん、彼のオヤジさんは古典にも通暁した粋人であったことは間違いない、しかし同時に“遊び人”、と言ったら語弊があるけど、ちょっとした“芸達者”だったのですな、『男の子が生まれた!』と連絡を受けた時、オヤジさんは麻雀の真っ最中! そして、満貫(まさに満願!)で上がった瞬間だった、しかも“東家”、すなわち‘親’であった!!

    麻雀では“上がる”ことを『和了』『和る(あがる)』と表記されます。これ以上ないという命名!

    蛇足ながら、

    この和東(かずはる)君、麻雀はおろか一切賭け事をやらない超真面目人間なのです。オヤジ殿を見ていて『これはアカン』と思ったから? いえ、オヤジさんは麻雀の他にビリヤードも上手で、賭け事にはあまり負けたことはなかったそうな。堅実に代々の家業もずっと続いております、念のため。

     

    閑話休題、

    道真公の秀歌、最後の部分ですが・・・

    『春を忘るな』or 『春な忘れそ』、どっちや!?

    ということが毎年この季節になると話題になります。古くて新しい命題と言えるかもしれませんな。

    しかし、どちらが正しい、なんていうことはここでは問題にはいたしません、こんなところで問題にしたってね、答えが出る訳でもありませんし、どっちだって構いはしない、、、

    それよりも、

    皆さんはどちらがお好きでしょうか?

     

    UKI氏は『春な忘れそ』派。

    どうしてか?

    単に語感が綺麗と感じるから。

    そう、平仮名の三文字が違っていることによって受ける感じがまるで違いますね。文法的な違いというのはまるで分かりません。『・・な』と言われるのと『・・そ』と言われること、どちらがより強い命令形になるのか、それすら良く分かっておりません、いえ、『命令形』なんてことをまるで考えはしなかったですな、そんなことはどうでも良いと言いますか、これは命じているのではなくて、『お願い』でありましょう。そして、心の底から願っていることは、“春を忘れないこと”ではなくて、京から大宰府に梅の香りを“東風に乗せて送り届けること”でありますね。有り得ないことを知りつつも、絶対に不可能と分っていながら、言わすにはいられない思いを『そ』に託しているのではないのかなと思いますね。そして、もう一つ指摘したいのは、この短歌に籠められた季節感なのではと思います。東風、梅、匂い、という言葉から第一に連想される言葉は、『早春』。これでありましょう。その早春の、まだ冷たい空気の中に感じられるわずかな暖かさと春。それらをすんなりとイメージできると言いましょうか、一輪ほどの暖かさを感じることの出来るのは、絶対に『春な忘れそ』。そして、三文字の平仮名の中でも特に『春な』の『な』、ではないかと思うのですね。『を』では、全般的な春、早春とは限定されないような気がします。

    そうです、これは絶対に、『春な忘れそ』でないといけない!!

     

     

    薄氷

     

    季語というのはホントFantasticと言いましょうか、

    美しい季語のパッ見の感じは、何となく綺麗なカラーダイヤの輝き、色味に似ていると感じることがあります。季語の意味やら、その出典を知らずとも、視覚で感じるだけで十分に満足してしまっているという時がある。「薄氷」もそうですね、初めて見た瞬間から惹かれてしまっております。

    季語としては、「うすごおり」や「はくひょう」とは言いません、

    『うすらい』、

    でもウッキーは、『薄氷』と書いて『うすらひ』と平仮名が付けてあるのが一番ズキンと来る。なんとなく、Greenish Blueの淡い色味が柔らかい陽の光にキラっとしたような気がするのですね、胸の裏の方がちくっときた感触があるのです。

     

    ところで、

    そのGreenish Blueの彩度は?

     

    あへて彩度は申しません、Fancy以上ではない、これは歴然としておりますね、

    Fancy Lightから下。

    そしてその彩度は、時間によって違うだろうし、見る時の気持ちによって大きく違ってくる。

     

    さて、『うすらひ』に関わり有る無しではなく、

    VividからFaint(フェイント)まで、色々たくさん見てきますと、

    一番美しいと感じるのは、どんなカラーであっても、

    Very Light Fancy Light

    なんですな。

    それを強く感じるのは、立春から2週間後の『雨水』までの間、

    これは面白い現象であると、毎年のように感じております。

     

     

     

     

     

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