Uki Dialy

「カラーダイヤモンド専門店 コズミック」店主によるカラーダイヤモンドブログ
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ダイヤモンド今昔物語ーその4
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        ―前回の続き―

     

    「どうした?」

    とバイヤーに聞かれてミカエルは我に返った。

     

    「あっ、すいません、いや、実はこれが初めてもらったOfferで、どうして良いのか分からなくて」

     

    「なんだ、そうだったのか。俺も初心者バイヤーだよ、仲良くやろう」

     

    藁にもすがる思いだったミカエルはようやく落ち着きを取り戻した。デスクの上に彼の買い付けリストがあることに気が付いた。バイヤーの名前はDeny Chenだった。

     

    Where are you from?

     

    Hong Kong

     

    「ちょっとお聞きしたいのですが、Mr. Chen

    「デニーでいいよ」

    Thanks、私のことはミカエルと呼んでください。デニー、あなたのOfferをそのまま社長に伝えると多分、私は怒鳴られることになると思う。Selectionではなくて、Half Cutとか1/3 Cut(均等割り)ではダメなのですか?」

    ミカエルはアルノンのオフィスで、アルノンが客と商談していたトークを思い出して言った。

     

    「ミカエル、私も同じだ。値打ちのある商品を買って帰らないとボスに怒鳴られて、二度とAntwerpに来られなくなってしまう。お願いだ、頼むよ。」

     

    「と言われてもね、どうしよう。ホント分からなくなりましたよ、デニー」

    「エリック・オースティンに相談してみたら」

    「ああ、このオフィスの人ですね。彼が社長なんですか?」

    「いや、社長は彼の兄だ。親父さんも健在で仕事してるよ」

    と言ってるところに当のエリックがやってきた。

     

    「私の噂話をしていたようだな。もう商売は終わったのかな」

     

    ミカエルはデニーとの遣り取りを語って、エリックに助言を求めた。

     

    「デニーもミカエルも、よく聞いて欲しい。私はどちらの味方でもない。分かっていると思うけど、キミたちがここで商談を成立させてくれないと私には1ドルも入らないんだ。初心者同士、突っ張っていても話は前に進まない。ここはもっと、お互いフランクに話してみないか。ミカエル、キミが指示されている価格はいくらなんだ?」

    $400ですが、これはWhole Parcel(まるごと)かCut(均等割り)の価格です」

    「そうか。では、デニー、キミのserious price(真面目な価格)は?」

    「確かに$400は高くない。しかし、自分が好まないインクルージョンの物が含まれているから、それをrejection(除外)してしまわないと」

     

    「だったら、30rejection$400というOfferはどうだろう?」

    とエリックが妥協案を出してくれた。

    デニーが少し渋い顔をした。構わずミカエルは言った。

    「それでは、デニー、カッシェットお願いします。」

     

    「そんな回りくどいことしなくても、ここから電話すれば良い。直ぐに終わるだろ」

    と、エリックが壁の電話を指差した。

     

    ミカエルの電話する指は心なしか震えていた。コール2回でアルノンが出た。エリックの妥協案をそのまま言った。少しの間(ま)が永遠にも感じられた。

     

    「どこにいる?」

    と聞かれてミカエルは、表で社名を見ることを忘れていたことに気が付いた。いや、エレベーターの扉が開いたら、そのままオフィスの中のような雰囲気だったのだ、どこにも社名のプレートを見なかった。ミカエルは受話器を手で覆ってエリックに言った。

    「どこにいるのかと聞かれています。」

     

    OK, I talk

    エリックが受話器を取った。

     

    「御社のミカエルが来ているのは、ベラダマス。オーナーは私の父親のモーリス・オースティン。ご存知ではないですかな。今は兄が社長で、私は次男のエリックです。」

    「それはどうもご丁寧に。御社とお父様を知らなかったらモグリだ。私は、アルノン・ゴルダ。以前はステファン・アレキシス氏のところにおりました」

    「お名前だけは良く存じ上げておりますよ。アレキシス氏の懐刀と言われていた切れ者」

    「いえいえ、多少なりとも切れていたのは昔の事。今はただの鈍刀(なまくら)です。」

     

    「ところで、エリック、どうしてまた貴方が電話口に?」

    「初心者同士の商談を見るに見かねて。まあでも、少しでも手助けになればと思ってね。我々も初商い、気持ち良くマザール(契約成立)と行こうではないですかな。うちにはバイヤーもたくさん来るしね、」

     

        ―続く―

     

     

    | ukitama | - | 17:05 | comments(0) | trackbacks(0) | - | - |









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