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「カラーダイヤモンド専門店 コズミック」店主によるカラーダイヤモンドブログ
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花より団子
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    『一国の歴史を書こうとするとき、国によってはその国民の過去の芸術的成果にはただ一瞥(いちべつ)を与えるだけですむ場合もあるかもしれない。しかし、日本の場合はむしろ逆で、うっかりすると天皇の名前や内乱を記述し忘れてしまっても、美術や、詩歌や、美的生活をなおざりにすることはできない。日本に、「花より団子」という諺(ことわざ)があるのも確かで、それを聞くと、物質的な価値に重きを置く国民を思い浮かべるかもしれない。だが、花を団子より、つまり、花を政治や経済より重んずるのが日本人の特性である。』

       ― ドナルド・キーン『果てしなく美しい日本』より ―

     

    『花より団子』は、実利を重んじるという意味もありますが、

    どちらかと言うと、風流を解さない人への非難である、というのがキーン氏の解釈の要点ですね。確かに、、古代中世の日本においては、国を治めるべき者たちが“政(まつりごと)”をほったらかしにして花を愛で歌を詠むということが、何の疑い、憂いもなく行われておりました。平安王朝の幻想を描いた『源氏物語』は当然ながら、ほぼ同じ時代に生きた清少納言は、平安朝の“日常スケッチ”とも言える『枕草子』を記しながらも、御所の内部における政治に関する記述はほぼ皆無。任官できなかった貴族の様子を『すさまじきもの(興醒めなもの)』として書いているのが若干ながら“政治もの”っぽいかなと感じさせる程度ですね。

     

    遊蕩、放蕩の挙句に国を傾けた君主は世界中にごまんとおりますけども、都(みやこ)が大内乱(応仁の乱)で灰燼に帰するような壊滅的打撃を受けているにも関わらず、『われ関せず』、別荘(東山山荘、銀閣寺)を建て、ひたすら数奇者、芸事の道を歩んだ為政者(足利義政)も日本ならではと言えそうで非常に興味深いところ、ホント日本は『果てしなく』美しい!

     

    さて、皆さん方には、お家の家計が火の車になるほど没入いただく必要はありませんが、やはり『花より団子』、花を愛でるようにカラーダイヤを愛していただきたいものです。そう、風流に。

     

    最近のカラーダイヤは品薄で、高いのが当たり前。

    ですから、いわゆるコストパフォーマンス重視、というような商品の選択をすると、あまり見るべき物はありません、もちろんたまにはあるけども、そういう商品は小粒であるか、または“やや難”、少し生地に劣るとか、インクルージョンが目立たぬもののちょっとその性質が・・とか、色が素直じゃない等など、ということがあります。もちろん、そういう若干の“難”なんて微々たることと全く気にしない姿勢も“カラーダイヤの長所を十分に理解している”という意味で、非常に評価、尊敬されるべきものです。

    しかし、やはり皆さん方には、カラーダイヤをより深くご理解いただきたく、

    そのためには、本当に優れた色味と生地を持った艶の優れた商品を選んでいただきたい。もはや存在しないのであればこんなことは言わないですけども、しっかりと“ここにある”のですから。

     

    例えばこれ。

     

    0.57crt Fancy Pink

    IntenseVividでないが故に美しい、

    端麗の極みを感じる美。

    春の夕暮れどきに感応するかのようなPinkです。

     

    そしてこれ。

     

    0.09crt Fancy Bluish Violet

    『春はあけぼの』の風情、

    “やうやう白くなりゆく”少し前の時刻、

    きっとこんな色なんじゃないのかなと思いますね。

     

    “ホンモノ”の風流がここにあります。

     

     

     

     

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