Uki Dialy

「カラーダイヤモンド専門店 コズミック」店主によるカラーダイヤモンドブログ
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水無月
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    今日から6月、

    今日の大阪は予想に反して午後から非常に爽やかな天候で、部屋の中から見ているとまだ5月なかばという感じなんですけども、

    さきほど軽くジョギングに出掛けましたら、日射しの強さに驚きました。帽子を被っているにも関わらず頭が熱い!

    いやはや、もう既にしっかり夏ですね。

     

    先日の続きです。

    名文への誘い、その2〜・・

     

     

    林望 『リンボウ先生、イギリスへ帰る』より

     

    ―夏の休暇に、私はよく山中の茅屋(ぼうおく)に身を隠して、ひそかに書見や瞑想(いやあるいは妄想?)に時を消すことがある。周囲には、だれもいない。そういうときは家族からも離れて、ほとんど一人で茫然と暮らすのが常だからである。

    朝起きて、飯を喰って、少しく散策なぞ試みて、それから気が向けば机に向かい、またはコンピューターのキーボードを打ち、とするうちに、時は速やかに流れてたちまち昼食の時間になる。しょうがないから、また昼食を拵えて、喰って、日の高いうちは、寝ころんでもっぱら本を読む。気が付くと、あっという間に夕方の光が、庭の面に満ちている。ああ、また一日が無為に暮れていくか・・・・・、私は立って厨房に赴き、夕食の支度に励むのだ。かくて、一人寂しい夕餉の膳に向い、窓の外を見いだせば、はや日は西の山に落ちて、黄昏の蒼白な空気が林間に降りているのである。

    こんな生活は、何の屈託もなく、この世の天国のように思えるかも知れないけれど、いざ実際にやってみると、なかなか、それほど単純なことではない。

    まずは、「さびしさ」という怪物と闘わなくてはならぬ。この怪物は、昔から多くの世捨て人などを苦しめてきた“しれ者”でそこに幾多の文学が生まれたと言ってもよい。

    そういう一人居ることのさびしさを、癒してくれるなによりのことは、私の場合、「買物」なのだった。

    なんでもない町のスーパーへ、買物に行く。そうして、大根や人参、鰺の開きだの、豚のロース肉だのと、日常の買物をする。ついでに本屋によって、買いもしない雑誌や単行本を冷やかし、たぶん読まないだろうなぁと思いながら、妙に難しい哲学の本なんかを買い込んでみたりする。そうして、実際には、やっぱり読まずに棚の肥やしになるのである。

    文房具屋、道具屋、骨董屋、佃煮屋、家具屋、洋服屋・・・・・、私の買物好きの魂は、神出鬼没そのとどまるところを知らない。といっても、金には限りがあることゆえ、いちいち買物を重ねるわけではない。その多くは冷やかしなのだが、それでも、ふいと思いついて、風流な飯茶碗を買ってみたりすると、それで心がふんわりとした嬉しさにつつまれる。一日のささやかな幸福、であるかもしれぬ―

     

    “茅屋(ぼうおく)”というのは、『かやぶき屋根の家』のこと。最近、外国人観光客で賑わっている京都府北部の美山町などは、この『かやぶき屋根の家』、昔ながらの百姓屋がたくさん残っていることが人気の大きな要因ですね。茅屋には“あばらや”という意味もありますが、お洒落なリンボウ先生のこと、「身を隠して」いるのはきっと風情ある“かやぶきの家”に違いないと思いますね。

    しかし、山中のそんな古民家に電気が来ているのか?

    それは問題ないです、以前に三重の旧友からこんな話を聞いたことがあります・・・

    彼は祖父さんの代から続く写真館の経営者なんですが、休日にはちょっとした芸術写真を撮るために“秘境”めいたところに出掛けることあるそうで、そうしたある日、三重の山中で時代物のドラマに出て来るような修験者風の男に出会ったのだそうですな。最初は非常に驚いたものの、異形ながら常識ある男であるし、少し会話しただけで我々が知っている普通の生活とはかけ離れた経験談、いやもうこれは滅茶オモロイとなって、それから何度も会う友人になったのだとか、、、その男とはどのようにアポイントを取っているのかは聞かなかったけども、まあとにかく、ウッキーの旧友がその修験者風に、いくつもの“秘境中の秘境”に案内してもらっているということ。旧友曰く『俺が案内してもらったエリアで写真を撮っている間、そいつは何時間でも岩の上で坐禅してピクリとも動かんのや』。その修験者氏が一体どうやって食べているのかは旧友に謎なのだそうですけども、いつのことか、修験者氏が三重の山中に、それこそ“あばらや”を建てたとか。もちろん、電気、ガス、水道、電話、なんていうものは引いてはおりません、、、しかし、ある日いきなり、中部電力の作業員がやってきて、電線を引っ張って来てその“あばらや”に取り付けた!

    もちろん、お金を払わないと電気は来ません。しかし、全ての国民が文化的な生活の権利を有する、という憲法の精神に基づいて、とにかく家があったらそこに電線を引かねばならないという義務が電力会社にはあるのだとか・・・

    修験者氏にとっては全く大きなお世話と言ったところでありましょうねぇ〜

     

    山中の隠遁生活となりますと、やろうと思えば自給自足も可能。猪や鹿を撃って食糧に出来たら最高ですけども、まあそこまでやらなくても、渓流で岩魚(いわな)を釣って刺身で食べたり囲炉裏端で焼いたり〜というのもいいですな、想像しただけでお腹が鳴ってきます。ところがですな、この岩魚という魚は偏在が激しくて、同じエリアでもたくさん生息する渓流と全くいない渓流があるのだとか。そして、面白いことに、この偏在をなくすべく努力している者がいる・・・

     

    人ではなくて、、ヤマセミ!

     

    ヤマセミは山中に生息する鳥で、翡翠(かわせみ)の仲間。写真を見ますと、漫画チックでユーモラスと言いますか、“イケイケ兄ちゃん”のような風貌です。このヤマセミが渓流でどんな努力をしているのかと言いますと、、

    小さな岩魚を獲っては岩魚のいない渓流に運んで落している!

    何でや?

    自らの餌場を増やすという作業をやっているのだそうです、凄いね・・・

     

    ・・・・と、キリがなく色んなことが思い浮かび、推測、想像してしまっております、

    リンボウ先生のような生活に対する強い憧れ、そして想像の範囲内という“共感”、

    という意味で名文。

     

    そして、最後の数行、『文房具屋、道具屋・・・』以下の文を少し“編集”したくなりますね〜・・・

     

    「ピンクダイヤ、ブルーダイヤ、DカラーのVVS1、ルビーのペンダント、プラチナのネックレス、ホワイトゴールドのバングル・・・・・私のジュエリー好きはとどまるところを知らない。といっても、金には限りがあることゆえ、ジュエリーの全てのアイテムを揃えられるわけではない。その多くは画像を楽しむだけなのだが、それでも、ふいと思いついて、趣きあるカラーダイヤを買ってみたりすると、それで心がふんわりとした嬉しさにつつまれる。今日の買物、ハート型の小粒、Fancy Intense Pinkの艶やかさに見惚れる一日のささやかな幸福である。」

     

     ― 続く ―

     

     

     

     

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