Uki Dialy

「カラーダイヤモンド専門店 コズミック」店主によるカラーダイヤモンドブログ
ダイヤモンド今昔物語ーその3
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       ―前回の続き―

     

    ミカエルの順番が巡って来た。このオフィスの中に入って約2時間が経過していた。ミカエルは、二人の日本人バイヤーの明らかに年長者である者の方に10個のメレのパーセルを置いた。

     

    年長者のバイヤーが10個のパーセルの表書きを見て言った。

    「小さな物は要らない」

     

    ミカエルは『えっ?』という表情になった。

     

    『これを見ろ』とデスクの上の紙を指差された。A4の用紙の一番上に二人の名前が書かれ、その下にいくつかのアイテムが記されていた。

     

      

       S. Tanaka

            H. Kato

     

      Round

      1.0ct DEF VVS VS

     

      1.5ct FG VS

     

      2.0ct FGH VS SI

     

      3.0ct FGH VS SI I1

     

      Fancy Shape

      1.0 ~ 2.0ct HS PS FG VS SI

     

         Best Regards

     

         

    全て1カラット以上の物ばかりだった。部屋に入ると同時にこの『買い付けリスト』を見るべきだったのだ。ミカエルは他に0.3crtから0.5crtのロシアものしか持ってなかった。尻尾を巻いて退散するしかなかった。2時間を無駄に過ごしてしまった。再び自己嫌悪感に襲われて、小さく溜息をついた。しかし、2時間居眠りしていた訳ではなかった。バイヤーとの遣り取りを勉強することができた。少しだけど学べたと思い直した。商品を鞄に入れ直して部屋から出て行く時にバイヤーから何か言われたような気がした。振り返って『Excuse me?』と聞いたが、『No problem』と言って手を振られた。きっと、日本語で何か揶揄されたのだろうと思った。せっかく来たのだから他の部屋も覗いてやれと思った。再びカウンター越しに女子社員たちを見て、先ほどまでいた部屋の反対側に行った。ドアが開いている部屋の中を見ると、初老の男が葉巻をくわえてパソコンのモニターを眺めていた。いわゆる“Religious”ではない(信心深くはない)、典型的なアシュケナジー・ユダヤ(中東系ではない欧州系ユダヤ人)の風貌の男だった。男と目が合った。このオフィスの社長に違いなかった。一応、挨拶だけはしておこうと思った。

     

    「商品、見ていただけませんか?」

     

    「バイヤーとはダメだったのか?」

     

    ミカエルは先ほどまでの話をした。

     

    「あいにくと今は彼らだけだ。来週になったらまた別のバイヤーがやってくるよ。その時にまた来なさい」

     

    「ありがとうございます」。

    お礼を言ってミカエルは出て行こうとした。

     

    「ちょっと待って。初めてだね。キミはどこのオフィスの商品を持っているの?」

     

    「私はブローカーではありません。コディアム社の社員です」

    と言ってミカエルはIDを見せた。

     

    「コディアム? 聞いたことがあるような、ないような、、社長の名前は?」

     

    「アルノン・ゴルダです。」

     

    「えー、そうだったのか。」

     

    男は少し驚いた様子で、『立ってないで、こちらに来て座りなさい』と言ってくれた。ミカエルは訳が分からず、一瞬、躊躇ったが、言われた通りにした。

     

    「アルノンは元気にしているのかな? 以前に居た会社では色々と騒動に巻き込まれて大変だっただろうな。いや、キミには関係のない話だ、失礼、私はここ、ディアマンタル社の社長、エリ・リップワース。以前、ロシアに原石の買い付けに行った時、アルノンに助けてもらってね、もう10年以上も前の事だ。彼とはロシアで偶然に一緒になったのだけど、本当に親切にしてもらった。オフィスに戻ったら、よろしく伝えてくれ。」

     

    リップワース氏から、ミカエル自身のことも聞かれ、ミカエルは5年前からのことを正直に喋った。今日までの2週間は、ダイヤモンド街でロクに話もしてもらえなかったから、ストレスが溜まっていたのかもしれなかった。自分で呆れるほどよく喋った。そしてかなり後悔した。

     

    「私がこんなこと喋ったとアルノンに言わないで下さい、お願いですから」

     

    「心配しなくて良い。キミのことを告げ口に行くほど私もヒマじゃない。」

     

    リップワース氏は続けて、『ディアマンタル社には、ほぼ毎週、日本人のバイヤーが来るから、彼らの買い付けリストにある商品を持って来れば良い。リストは、外のドアの右側の掲示板にも貼ってあるので、中に入らなくても見ることができる。他に知りたいことがあれば何でも遠慮なく聞くように』などと言ってくれた。

     

    ミカエルは丁寧にお礼を言って辞去した。何か‘とっかかり’が見つかったような気がした。しかし現実問題として、何も売れないどころか“カシェット”もなしでは社に戻れないと思った。ディアマンタルのような会社が他にもあるに違いないから、それを探してみようと思った。ちょうどランチタイムになっていた。バイヤーたちは昼食のためにビルから出てきてショッピングセンターのレストラン等に行くに違いない。お昼の時間にビルから出て来る人と、ビルの中に戻る人をチェックしようと思った。5年前にミカエルが偶然出てきてダイヤモンド街と遭遇した出入り口付近まで来た。近くの、ひときわ綺麗なビルの対面の壁にもたれて、また観察を始めた。しばらくは、黒ずくめの男たちと、この界隈でいつも見ているような男女しか通らなかった。20分くらいして、スーツ姿で手ぶらのユダヤ人が、薄いブリーフケースを下げた東洋人の男と一緒に歩いてきた。ミカエルはまた後をつけることにした。すぐ前の綺麗なビルに入って行った。小走りに追いかけた。エレベーターの前で、ユダヤ人の男が東洋人の男に言った。『これから行くオフィスは、ネゴ(商談)に時間が掛かるから、いくつかカシェットして直ぐに出よう』。彼らは研磨業者の在庫を見に行くところだったのだ。ついて行っても無駄だった。ミカエルは踵を返してビルの外に出た。立っていた場所に戻ってまた観察を再開した。15分もしないうちに、先ほどの‘二人組’が出て来た。東洋人は何か怒っている様子だった。ユダヤ人はそれをなだめているようだった。『とりあえず、オフィスに戻ろう』という声が聞こえてきた。チャンスだと思った。東洋人のバイヤーは、一緒にいるユダヤ人の男のオフィスでブローカーから商品を買ったり、男の案内でいくつかのオフィスに出向いて商品を選び、そのユダヤ人の男に手数料3%を支払って、まとめて輸出してもらっているに違いなかった。

     

    20メートルほど歩いてビルの中に入った。エレベーターの前には彼ら以外に誰もいなかった。ミカエルはユダヤ人に声を掛けた。

     

    「コディアムのミカエル・ゴフコフスキーと言います。バイヤーの方に商品を見てもらいたいのですが」

     

    何か考え事をしていたような風情のユダヤ人の男だったが、ミカエルの方に向いて笑顔を見せた。コメディアンのような優しい笑顔で、ミカエルは大いに安心した。

     

    「構わないけど、何を持ってるの?」

     

    「メレとロシアものです」

     

    「この人には不要だけど、もう一人のバイヤーが買うかもしれない。来なさい」

     

    エレベーターを9階で降りた。細いビルで、1フロアに1社だけのようだった。非常に開放的で、エレベーターの扉が開いたら、オフィスのひとつの部屋の中が見えていた。

     

    『こっちだ』と案内される方向に行くと、もうひとつの部屋に若い東洋人が一人座っていた。『OK?』と聞いたら頷いたのでメレのパーセルをデスクの上に置いた。バイヤーは、最初のパーセルを開いてscoop(ダイヤ用のシャベル)で約半分、5カラット分ほどすくい取り、白いパッドの上に静かに置き換え、ピンセットとルーペを使い始めた。ピンセットの運びは明らかにミカエルよりも遅く、時間が掛かりそうだった。20分ほど経過した時、価格を聞かれた。アルノンのリストには$400と書かれていたが、そのまま言うと後のネゴが大変そうだから、$450と言った。バイヤーはまだパーセルの中身を全て見終わってないようだった。自分と同じく初心者なのかもしれないとミカエルは思った。何かちょっと嬉しい気分になってきた。パッドに顔を近づけてメレを見ていたバイヤーが顔を上げてミカエルを見て言った。

     

    30% selection, $375

     

    ミカエルはそれがバイヤーのOfferだと気が付くのに少し時間を要した。YesNoも頭の中になかった。カシェットして良いものかどうか判断がつかなかった。

     

         ―続く―

     

     

     

     

    | ukitama | - | 17:12 | comments(0) | trackbacks(0) | - | - |
    慶祝賀
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      週末に執り行なわれました、天皇陛下御即位祝賀式典と祝賀パレード、

      ご覧になりましたか?

      良かったですね、感動しましたね。

      皇后さまの神々しさと、何度も涙を拭われるお姿に、心を打たれました。

      冥途の土産になったと言うと大袈裟かもしれないけど、一生忘れないであろうイベントでございました。

      何か言葉にならない思いがじわりと心の中に湧き上がってくるのですね。日本人として生まれて良かったと言うか誇りみたいなものと、世界で例を見ない長さ、長い年月を感じさせる我が国の皇統という存在の神秘的な輝きとか、時代は移り変わっても変わらないものがそこにあるという奇跡のような存在への畏敬。これを表現すれば、やはり単純に『よろこび』なんだろうと、思わずにはいられなかったですね。

       

      沿道に集まった国民は約117千人と聞いて、『なんや、少ないな』と思っておりましたら、厳重な警備のせいで、“その中”に入れなかった人が、その何倍もいたのですね。東京都民でさえ‘朝イチ’から良いポジションを確保して待ってないとチャンスはなかったのですな。117千人の方の忍耐には大いに敬服いたします。中には、天皇陛下の“カメラ目線”のお姿をしっかりと撮った人もいたりね、それぞれにまた様々なドラマがあった土日であったのではないかと。

       

      ところで、

      このような折りですから、大いに蛇足をお許しいただきたいのですが、

      『よろこび』という言葉に対応する漢字ね、皆さんはお考えになったことがありますか?

      かく言うUKI氏もほとんど気にしてこなかったのですけども、

      漢字によってかなり意味が変わってくるのですね、

      れいによってお勉強いたしました〜・・・・

       

      まず、一番一般的な『喜び』、

      “喜”という漢字は、太鼓を打って舞い踊る姿が原型なんだとか。

      舞い踊ることで、神様の機嫌を良くさせられると古代では信じられていたのです。秋の収穫を終え、太陽の恵み、神への感謝ですね、与えられたことへの感情の表現。

      “喜び”は、何かを頂いたということがあってのものなんです。

       

      これもあります、『慶び』、

      古代中国では、お祝いの時に鹿の角(立派な角つきの頭部全体)を持って出かけて行ったそうです。それを届けようと歩いている時の姿が“慶”、なんだそうで。おめでたい時に限られるのが“慶び”。

      良いですね、鹿の角、もらいたいですね、角の部分だけで十分ですが。しかし、

      今どき鹿の角を持って歩いている奴なんぞいたら大変ですな、昨日の東京都内でそんなことをしていたら、恐らく5分もしないうちに警官が飛んできて手錠を掛けられること間違いなさそうです。

       

      そしてこれ、『歓び』、

      この漢字もかなり興味深い‘オリジナル型’。『喜』や『慶』は、言われて、なるほど、と感じられるのですが、この『歓』はピンと来ないでしょうから、書家の書いた『歓』の字、下の画像を参照してください。

       

       

       

      古代中国では“鳥占い”がよく行われていたそうです。それに使われていたのが、神聖な鳥とされたコウノトリ、それがこの漢字の左の部分なんですな。そして右側は、人が口を開いて声を出している姿を表現しているということです、お分かりになりましたでしょうか、実に面白い!

      ということで、祈って願ったことが実現した時の感情が『歓ぶ』。前提として“願い”がないとならないとのことです。

       

      もう一つありますね、『悦び』、

      左側は“りっしんべん”、要するに“心”です。そして右側は、衣類を脱ぐという動作を表しているのだとか。“心が服を脱ぐ”、即ち、神かがりして恍惚とすること〜

      しかし、現代においては、そんなことなってたら単にオカルトですからね、まあせいぜいが『♂♀』の時の気持ち?!? 心だけではなくてホンマに服脱いでますな。

      “一人悦に入る”、なんていうこともよくあることで、そういう時の感情に近いのかもしれません。カラーダイヤというある種、特殊なアイテム、自分の気に入ったダイヤを眺めている時の感情は、ひょっとしたら『喜び』と言うよりも『悦び』なのかもしれませんね。

       

      蛇足の蛇足ながら、

      今年も『正倉院展』に行ってきました〜

       

      チケットのほぼ実物大コピー

       

      今年は、“御即位記念”ということで例年よりも気合いが入っておりましたよ〜

      見どころは多いです。

      まず目を引いたのが、赤く染められた象牙のものさし。素晴らしいデザイン。

      次は何と言っても、『鳥毛立女屏風』ですな。中国唐代の影響を大きく受けたと推測されるもの。確かに、あの着衣や、ふくよかな女性の顔は、日本人と言うよりも日中のハーフという感じでね、色々と想像をかき立てられます。

      UKI氏が一番感動したのが、聖武天皇が履いたと推測される靴。

      牛革製で赤く染められております。当時としても非常に斬新なデザインであったことかと。これを見て愚妻が『足の大きな人やったんやねぇ』なんて言ってる。『あのなあ、お前、相変わらずやなぁ、聖武天皇が身長2メートル近い大男やった訳ないやろ!』、という会話が周囲に聞こえてなかったことを祈りたいと・・・ちなみにこの靴の長さは31.5cmでございます。恐らく聖武天皇は、目立つように、この靴の中に足を入れてお立ちになっただけかと。どう見ても歩けるような物ではありませんな。

      大きなラピスラズリが何個も付けられた黒革のベルトも“注目の逸品”でございますね。いやホンマに美しい。現代の技術で磨けば、ラピスはもっと美しく輝くに違いない、なんて思っておりましたよ。それにしても、このベルト、長さ156cmもあるのですよ。太めのウッキーのベルトは約100cmです。156cmもあるベルト、古代の人は小柄で細身に違いないしね、腰の周り2周してたんちゃうか〜みたいな感じがありますね、それともまた別の用途だったのかな?? またまた色々と想像してみたくなりますね。

       

      出口の手前、最後は『お約束』のもの、

      光明皇后の御願経というのですか、

      『皇后藤原氏光明子奉為』で始まる写経、

      これを見て出るというのが決まったルールのようでありますね。でも、毎度これを見て外に出ますと、何か心が落ち着くと言いましょうか、見てどうってことないのに、なくてはならない“必需品”のように思えてくるから不思議です。

       

      奈良国立博物館から出て、池のそばから東大寺の参道を眺めてみれば、来た時よりもまた一段と活気のある人波、、小学生から高校生まで、一体この界隈に何校の修学旅行生が集まっているのか、ひょっとしたら100を超えている?! それでもなおキャパ十分、しっかりと収容しているのがこのエリアの凄いところです。

       

      老若男女、東西色々な国から目の色や肌の色さまざまな人が来訪している広大な奈良公園の景色、これは恐らくシルクロードの終点として栄えた古代の奈良の都そのもの。当時の方がもっと多彩な民族の“吹き溜まり”だったと言う人もおりますしね、1,350年ほどタイムスリップして見たら、一体どんな景色なんだろうと、思わずにはいられませんね。

       

      令和元年のこの時において正倉院御物に色んな時代背景を推測するように、数百年先の日本人が令和という時代をどう見るのか考えることは、非常に有意義なことなのではないのかと、ガラにもなく思っております。ここ500年ほどの間のことを考えてみるに、戦国期からの混乱の続いた江戸初期、平和な元禄、そして江戸爛熟期とも言える文化文政、幕末維新、そして明治と、明らかな‘時代区分’がありますね。その後の時代、大正と昭和が“ひとくくり”にされることが多いように、令和も平成とひとくくりに捉えられるのか、それともまた別の『〇〇期』と言われるようになるのか?

       

      英明な今上陛下は、既にそれが見えておられるのではないのかな、という気もしますね。

       

       

       

       

       

       

       

      | ukitama | - | 17:43 | comments(0) | trackbacks(0) | - | - |
      ダイヤモンド今昔物語ーその2
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            ―前回の続き―

         

        ミカエルのセールスマンとしての日々が始まった。アルノンから鎖付きの黒い革の鞄をもらって、そこにアルノンから渡される商品を入れて、午前10時半にオフィスを出てゆくのが日課になった。鞄に入れる商品は日によって違ったが、ほとんどが自分でアソートした商品で、商品の内容はしっかりと把握していた。だいたいが、メレのパーセル10点、0.3crtから0.5crtの‘ロシアもの’十数個が1セットになってプラスティックのケースに入れた物を10セットだった。セールスと言っても、車や列車に乗って遠くに行くことは有り得ず、ダイヤモンド街の外に出ることさえもなかった。全ての商いがダイヤモンド街でのものだった。それでも、その数2,000とも3,000とも言われるオフィスがダイヤモンド街にひしめいていて、訪問先に困るということはなかった。全てのオフィスの入り口には監視カメラが設置され、ドアがしっかりと閉じられ内側からのボタンで開錠されるようになっていた。ドア横のインタフォンで名前と会社名を名乗って入室を許された。門前払いするようなオフィスはほとんどなかったが、商品を見てもらえることすら稀で、全く実際の取引にはならなかった。第1週目は無惨な結果に終わり、ミカエルは打ちひしがれてアパートに戻った。週末は新しい住まいを見つけて引っ越した。家族もなくお金もないミカエルであったから、どんな場所でも構わなかった。レンタルアパートと書いた看板の店に入って予算を言って、ダイヤモンド街から徒歩で25分ほどのところの物件を紹介された。すぐに行って見ると付近にはオランダ風の建物が並んでいた。煉瓦造りの廃工場が直ぐ近くにあった。かつては賑わっていたが寂れてしまったエリアのようだった。杖をついた年寄りが数人歩いていた。活気がなく、若者が出入りするような商店や飲食店はなさそうだった。ミカエルが父親と暮らしていたエリアよりは余ほど綺麗で静かだったし、部屋にも問題はなかった。2時間もすれば馴染んで、長いこと住んでいるような気持ちになった。

         

        2週目も全く成果がなかった。週末になってアルノンがミカエルに言った。『お前はロシア人並みの馬鹿だな。頭は生きているうちに使うことが大事だ』。ミカエルは父親を思い出した。『そうだ。自分はバカなロシア人の息子だ。馬鹿に違いない』、しかし、アルノンの罵倒は許せなかった。心の底から燃え上がってくるものがあった。初めてアルノンに怒気を発しそうになった。

         

        「なんだ。怒ったのか。泣くよりもましだな。お前も少しは進歩したという訳だ。」

         

        アルノンの言葉に強く拳を握りしめたミカエルだったが、不甲斐ない自分に対して嫌悪感が一杯で、大声で叫びたかった。そんなミカエルの心を察したかのように、アルノンは言った。

         

        「最悪と思っている時はまだまだだ。本当に最悪となったら怒る元気も出ないぞ。」

         

        夜が来て朝が来てを3度繰り返して、また月曜日になった。アルノンはセールスに関して何もアドヴァイスしてくれなかった。ミカエルも自分なりに色々と考えてはいた。最初の2週間のミカエルの訪問先は、全く‘行き当たりばったり’のものでしかなかった。闇雲に一つのビルに入って、片っ端からドア横のベルを押して入って出ての繰り返しだった。そんなことはもうやめようと思った。ブローカーたちの仕事を真似すれば良いのかもしれないと考えた。

         

        通りに出て、ビルの前で人を待っているような顔でダイヤモンド街を行き来する男たちを観察していた。大きく膨らんだ黒革のバッグを持って、ひときわ足早に行く男の後をつけた。明らかに目的の場所がある歩き方がった。数メートルうしろにピッタリとくっついてビルの中に入る。男と同じエレベーターに乗り込んだ。幸いにして、数人が一緒になったからミカエルがピッタリとくっついていることに男は気付かなかった。男は一人の女性に続いて3階で降りた。ミカエルも素早く続いた。男は前を歩く女性に気を取られてミカエルには全く注意を払っていなかった。女性は少し歩いてドアの奥に消えて行った。男は残念そうにしながら、その2つ隣のドアのベルを押した。直ぐにドアが開いて男が入った。ミカエルも何とかドアの隙間から身を滑らせて中に入った。強い葉巻の匂いがした。ミカエルの母親ほどの年齢の女性が一人と、20代と思われる若い女性が三人、デスクで一生懸命に書類を作っているようだった。ミカエルは彼女たちに一顧だにされなかった。実に都合が良かった。女子社員たちがいる部屋とは別にあと4つほどの部屋があるようだった。こうなったら、とことん男について行ってやれとミカエルは思った。男が入った部屋に続いて入った。日本人とおぼしきバイヤーが二人、長いデスクの両サイドに向かい合って座っていた。ひとりの細身で長身のブローカーが彼らに商品を見せて、シンプルな英語で遣り取りをしていた。英語が得意ではないミカエルにも分かるほどの簡単な英語だった。長デスクから3メートルほど離れた壁際にいくつも椅子が並べられていた。ブローカーたち売り手が順番待ちする席に違いなかった。そこには一人が座っているだけだった。ミカエルが追いかけた男がその隣に腰を下ろした。ミカエルも当然そうにその横に陣取った。『なるほど。バイヤーが来ているオフィスに来るべきなんだ』と悟った。オフィスの経営者たちも、もちろん重要な買い手に違いなかったが、それぞれ決まったsupplierがある。新しい仕入れ先と取引を始めることは、これまでのsupplierとの取引金額が少なくなることを意味する。だから、新規の取引には価格等それ相応にかなりのメリットがなければならなかった。その点、海外からのバイヤーたちは、“縛り”が少なかった。価格さえ合えば何も問題なかった。

         

        1時間ほど経過して、ミカエルが追いかけた男が商品を見せ始めた。その前に商品を見せていた二人のブローカーたちは徒労に終わったようだった。この男はそんなことにはならないだろうという気がした。ミカエルは、じっくりと商売を見てやろうと思った。全て1カラット以上の商品で、11個別々のパーセル(紙包み)に入っているようだった。GIA他、どこのグレードも付いてないようだった。

         

        「これは?」(バイヤー)

         

        $5,000、カシェット」(ブローカー)

         

        $4,000」(バイヤー)

         

        $4,750」(ブローカー)

         

        $4,100」(バイヤー)

         

        $4,650」(ブローカー)

         

        「高いな、諦める」(バイヤー)

         

        $4,400、カシェット」(ブローカー)

         

        $4,150なら」(バイヤー)

         

        OK、トライしてみる」(ブローカー)

         

        そのような遣り取りが何度かあって、バイヤーたちは手紙サイズの緑の封筒の表に、重量と希望価格を書き込んで、まとめて何個か入れ、スコッチテープで封をし、サインしてブローカーに渡した。ブローカーは、この封筒に書かれた価格を商品を所有する会社の経営者に連絡するか見せるかして、本当の価格交渉がスタートするという訳だった。『カシェット』とは、値段交渉をスタート可能な価格という意味であったのだ。ミカエルは、こんなことすら教えてくれなかったアルノンに対してかなり頭に来たが、この場に及んでもうそんなことを思っている時間はなかった。アルノンから、商品の価格リストをもらっていたが、その価格がどのレベルなのかサッパリ分からなかった。とりあえず、バイヤーから希望価格をもらったらラッキーだと思った。

         

            ―続く―

         

         

         

         

        | ukitama | - | 17:29 | comments(0) | trackbacks(0) | - | - |
        ダイヤモンド今昔物語
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          先月から『今昔物語』に‘はまって’おります。

          正確には、『今昔物語集・本朝世俗篇』の上巻、現代語訳。

           

          『今昔物語』は、中高時代に学びましたね。しかし、何かインパクト不足と言いますか、授業以外で読んでみようとは思わなかったですな、「観音助けたまえ」と言って清水の舞台から飛び降りた話とかあったなぁ〜くらいにしか覚えてなかったのですけども、ふとしたはずみで上記のものを買って読み出しますと、内容が非常に多岐に渡っていて興味深いのですね〜・・・なんせ、冒頭が“大化の改新”のクーデタ顛末。『うへっ!』って感じ。後の宰相・藤原鎌足が蘇我入鹿に斬りつけて〜というやつなんです。ページをパラパラやっておりますと、平将門の乱やら藤原純友の乱の記述もあり、陰陽師・安倍清明やら百鬼夜行やら、この前ここに載せた大喰いの話、力自慢の女の話とかっていう全く下らぬものまでホント色々。時おり『アホくさ』、と思っても何故かまた読んでしまう〜・・という訳で離れられなくなっております。

           

          そこで?

          ウッキーも!

          と相成りまして〜

          『ダイヤモンド今昔物語集・超世俗篇』

          を書いてみたくなった―ということで、

          始まり始まり――

           

          なお、本編、『UKI版・ダイヤモンド今昔物語集』は、実話をもとにしておりますが、登場する個人名や団体名は全て架空のものです。

           

           

           《ベルギー国に於いて、10カラットのダイヤが紛失した語(こと)》

           

          今は昔、ダイヤモンドの都(みやこ)、アントワープというところにアラン・デクラークという者がいた。アランは貧しくとも働き者のユダヤ人の両親のもとに生まれ育ち、苦学して高校を卒業した後、ユーバルというダイヤモンド研磨販売会社に職を得た。アントワープのダイヤモンド街に通い始めた頃は仕事に馴染めなかったが、元々優れた頭脳を持つアランであったから1年もしないうちにダイヤモンドに関する知識をほぼ身につけた。知力に恵まれ正直で勤勉であった彼が、ユーバル社オーナーから大きな信頼を寄せられるまでに大して時間は掛からなかった。入社して10年後、アランはユーバルの海外販売会社の社長を任されるに至った。そしてそれから30年が経過し・・・

           

          ジャック・デクラークという者がいた。これはアラン・デクラークの次男であった。アランが独立して創業したダイヤモンド輸出入卸会社の2代目である。ジャックにはシモンという長兄がいたが、シモンの性格は商売人向きではなく、彼は卒業後も大学に残って訳の分からぬ研究に没頭している。ジャックは、『仕方ない』と家業を継いだのであった。ジャックは、さほど商才のある方ではなかったが、商売はなにひとつ不安なところはなかった。社長の席をジャックに譲ったとは言え、父親のアランはこれまで通りに仕入れを取り仕切り、アランが創業した時からの腹心が番頭として販売に睨みを利かせていたからだ。ジャックが何もせずとも会社は動いていた。

           

          そんなある日、いつものように時間を持て余しているジャックが、アントワープ・ダイヤモンド街の10階建てのビルの最上階にある社長室の窓を大きく開けて、遠く拡がる地平線の彼方を眺めていた時、社員が一人のブローカーを連れて入って来た。

           

          「社長、彼が買ってもらいたい商品があるそうで」

           

          「オヤジは?」

           

          「今日からイスラエルに出張で、既に空港から飛び立った時間ではないかと」

           

          「ああ、そうだったな。番頭さんもいないのか?」

           

          「昨日から販売プロモーションでアメリカに」

           

          「仕方ない」

          と、ジャックは窓際のデスクに腰を下ろしてダイヤの裸石が入った紙包みを手に取った。ちゃんと座ってご覧になってください、と言う社員の言葉を無視し、ジャックは包みを開け、ダイヤを取り出し、ピンセットで摘まんでルーペで覗きこんだ。流石に10crtsとなると異次元の迫力、GIAの鑑定書付きのDカラーVVS1、しかもラウンド。VVS1だから、ルーペを使ってもインクルージョンが見える訳ではないが、包みの中に間違ったダイヤが入っている可能性もある、チェックは欠かせない。大丈夫のようだ。『安値で買って、オヤジの鼻を明かしてやろう』

           

          一人ほくそ笑んでいると、表の通りが何やら騒がしい。『そう言えば、日本のプリンセスが今日、アントワープに来るとニュースで言ってたな、、その一行に違いない』と、開いている窓に身を寄せた瞬間、

          な、な、なんと、

          10crts D VVS1がピンセットからこぼれて弾んで外に飛び出した!!

           

          ジャックが手を伸ばすも空を掴むばかり。直ぐに下を覗きこんでみても、ダイヤが落ちて行く先なんぞ見える訳がなく、道路にぶつかる衝撃音でも聞こえないかと思ったが、少し前から続く喧騒が聞こえてくるばかり。

           

          ジャックは大慌てで部屋から出てエレベーターに乗ることも忘れて非常階段を駆け下りた。しかし、ジャックの社長室の下あたりをちょうど“御一行様”が通過中、警備の警察官に遮られ、無理やり行列の中に割り込もうとして、ラグビー選手のように屈強なSPに羽交い絞めにされ、手錠掛けられパトカーに乗せられてしまったのであった・・・・

           

          ・・・・1時間後、アントワープ警察本部での取り調べ。

          銃や爆発物の類を所持せず、商品に関わった社員とブローカーが弁護士とともに面会に現れたことで直ぐに釈放となったが、10crtsは見つからない。イスラエルで話を聞いた父親のアラン、本来の10crtsの所有者の会社社長は、真赤になって怒鳴った後、怒りを通り越して青くなり、ダイヤモンド街全体を巻き込んでそれはもう大変な騒ぎとなった。

           

          これだけ騒げば拾った者が届けてくれそうなものだが・・・

           

          10crtsはどこに消えた、誰が掴み取ったのか?

          杳(よう)として消息は知れない。

           

          その後、アランはジャックを社長室から放り出し、インドのダイヤモンド市場に行かせ、メレのアソート(仕分け)作業から修行を始めさせた。

           

          また、この騒ぎのあと、アントワープのダイヤモンド街の会社経営者たちの多くは、オフィスの窓という窓全てを開放できぬように改修したと、こう語り伝えているということである。

           

           

           《ベルギー国に於いて、机ひとつから会社を興した語(こと)》

           

          今は昔、ダイヤモンドの都(みやこ)、アントワープというところに、ミカエル・ゴルコフスキーという者がいた。ミカエルはベルギー生まれであったが、ミカエルの父親はロシア移民の息子で、オランダ生まれだった。父親は飲んだくれの失業者で、ミカエルは学校にも行けず、母親はそんな夫に愛想尽かして、とうの昔にいなくなっていた。ミカエルは父親と二人、古いアパートの小さな部屋に住んでいた。父親は、きちんと家賃を支払ったことがなかった。けれど、支払いの督促をされる頃になると必ずどこかに行ってゼニを稼いできた。真っ当な仕事でないことは確かだった。父親は、家賃を払ってゼニが残っていても、ほとんど酒代に使ってしまい、ミカエルはいつも腹を減らした少年だった。空腹に耐えられなくなるとミカエルは、近所の家庭の小間使いをして小銭を稼いで凌いだ。ミカエルが13歳の時、父親は稼ぎに出掛けたまま戻って来なくなった。最初の1週間は残っていたパンを少しずつ食べた。パンがなくなって次の1週間は近所のおばさんたちの小間使いの稼ぎで何とか食べてゆけたが、その後は小間使いの仕事もなくなった。その界隈の家も皆、貧しく、ぎりぎりの生活をしていたのだった。そして、家賃の取りたて人がやってきた。ミカエルはもう少ししたら父親が帰って来るかもしれないと思って、10日待って欲しいと頼んだ。取立人は5日しかくれなかった。『5日後に家賃が払えなくば、とっとと出て行け』と言われた。5日経っても父親は戻らなかった。取りたて人がやってきて、ミカエルはホームレスになった。父親は事件に巻き込まれるかしてもう亡くなっていると確信した。

           

          ほとんど何もない住居からミカエルは毛布一枚だけを持って歩き出した。行くあては全くなかった。アントワープ中央駅近くが何となく面白そうと思って線路沿いに歩いて行った。2時間ほど歩いて中央駅の手前まで来た。線路の高架下の煉瓦積みが少し壊れて窪みがあり、そこを仮の宿とした。翌日、中央駅の中を通って反対側に行った。賑やかで華やかな通りだった。ミカエルはダイヤモンドの指輪やネックレスが並んでいるショーウィンドウに目を奪われた。この世のものとは思えない光景だった。目を皿のようにして見ていたら、宝石屋の中から女が出て来て言った、『お客さんの邪魔になるから、どこかへ行きなさい』。しかたなくミカエルはショーウィンドウを離れて歩き出した。今度は目的が見つかったような気がした。ダイヤモンドをもう一度見たいと思った。ショッピングセンターの中に入ると、様ざまな店が並んでいた。ダイヤモンドを並べた店が何軒もあった。今度は追い立てられぬようにと気を使っていたが、やはり見咎められた。ミカエルは完全にダイヤモンドに魅入られてしまった。ダイヤモンドの世界で生きて行けたらどんなにか幸せだろうと思った。宝石屋の人に、どんな仕事でもするから雇ってくださいと頼んだが、『要らない』と断られた。他の店でも同様だった。ミカエルは肩を落としてショッピングセンターから出た。入った時とは別の、ほぼ反対側の出入り口だった。目の前に整然とした通りが延びていた。両サイドに隙間なく綺麗なビルが立ち並び、車が走っていない通りだった。黒のマントに黒のハット、長いヒゲを生やした男たちがたくさん歩いていた。皆、太い鎖を付けた黒革の鞄を持っていた。太い鎖はズボンのベルトと繋がっているようだった。ミカエルは、偶然にも自分がユダヤ人ダイヤモンド商たちの中にいることを悟った。神様に幸運を感謝した。ミカエルはアントワープ・ダイヤモンド街を歩く黒ずくめの男たちのマントを握ってお願いした、『私を雇ってください、何でもします』。

           

          誰も相手にしてくれなかった。ミカエルは、疲れと空腹で、ダイヤモンド街の端っこの石畳の上に座りこんでしまった。ウトウトと居眠りをして夢を見た。大きなダイヤモンドが空から降ってくる夢だった。拾おうとして目が覚めた。また眠って夢を見た。飛行機に乗って雲の上を飛んでいる夢だった。飛行機なんて全く縁がなかったから、ミカエルはついに自分も死んだのだと思った。その時、誰かに肩を叩かれて目が覚めた。黒いマントではなくて、普通のジャケットを着た小柄な男だった。男は、黒いマントの男たちに追いすがるミカエルを遠目に見ていて、何故か不憫に思ったのだった。

           

          「坊や、どうした。迷子になったのか?」

          と声を掛けた。

           

          ミカエルは意味が分からなかった、同時に腹が立って来た。

          「坊やでもないし、迷子でもありません」

          キッとなって男に言った。

           

          男は、そのミカエルの顔をどこかで見たような気がして、名前を聞いた。

           

          「ミカエル・ゴルコフスキー」

           

          姓を聞いて男は動転した。男の名はアルノン・ゴルダ。だが、以前はアンドレ・ゴルコフスキーだったのだ、ダイヤモンドの世界に入ると同時に姓名をユダヤ人風に変えたのだ。この子は、20年前に悪事を働いてオランダを去ってベルギーに逃れたと噂されていた兄の息子に違いない。しかし、ここでこの子から兄の名を聞いてしまったら、もうこの子と離れる訳には行かない。複雑な気持ちでアルノンは言った。

          「ここでお前を雇う者なんていないし、ここにいつまでも居られはしない。警官に追い払われる前にダイヤモンド街から出て行きなさい」

          と言ってアルノンは、ミカエルの手に23日分の食費に相当するお金を渡したのであった。

           

          翌日の昼ごろ、ダイヤモンド街の同じ場所に立つミカエルの姿があった。アルノンは少し離れたビルの7階のオフィスからミカエルを見ていた。少し心を動かされたが、仕事が溜まっていることを自分への言い訳にしてミカエルのところには行かなかった。夕刻になってまた見るとミカエルの姿は消えていた。追い払われたに違いなかった。その日は金曜だった。ダイヤモンド街は、金曜の夕方から月曜の朝までゴーストタウンになるのが普通であった。アルノンの中で、もうミカエルには会えないかもしれないという気持ちと、もう会いたくないと言うもう一人の自分が交差した。

           

          月曜の午前10時少し前、同じ場所に立っているミカエルの姿をアルノンは見た。ミカエルを放っておけないという気持ちが強くなった。アルノンは決断した。ミカエルの父親の名は聞くまい。ミカエルを用務員、雑用係として置いてやろう。しかし、それだけだ。情は一切掛けない。

           

          アルノンはミカエルのそばに行って命じた。

          「俺に付いて来い」

           

          アルノンがミカエルを連れて行ったのはダイヤモンド街から歩いて5分ほどのところにある小さなアパートの一室だった。アルノンはこの部屋を仮眠や書庫として借りていた。とりあえずミカエルをここに住まわせ、後日また適当な安い住居をあてがったら良いと考えた。アルノンは、薄汚れたミカエルに風呂に入るように言い、近くの古着屋に行ってミカエルに清潔な衣類を買い与えた。ミカエルが風呂から出て着替えを済ませると、アルノンは彼を連れてオフィスに戻った。

           

          アルノンは、ダイヤモンド仲買い人であった。極々小規模で、一人の従業員も雇っていなかったが、ダイヤモンド街に自分のオフィスを持っていた。ベルギーに来た当初の目的は、兄の消息が少しでもつかめるかもしれないと思ったからだった。犯罪者の兄ではあったが、アルノンには優しく、かけがえのない兄だった。大都会の首都・ブラッセルに行かずにアントワープに来たのは、ブラッセルの日常語はフランス語だからだ。兄はオランダ語とロシア語しか喋れなかった。アントワープは、オランダ語が日常語で、郊外の拡がりも大きな都市であった。また、ダイヤモンドの世界4大市場の一つであったから外国人も多く、よそ者にも住みやすい街だった。きっと兄はアントワープにいる。アルノンはそう確信していた。しかし、兄に関連するような話は全く聞けず、5年、10年と経過するうちにアルノンの兄に対する想いも薄くなってしまっていたのであった。

           

          アルノンのダイヤモンドの世界との出会いは、実に小説じみたものであった。アントワープに来て自活のため、アルノンは最初、食品の輸出入をしている会社に就職した。アルノンはオランダ語の他に、父親の影響でロシア語も自然に覚え、また、高校の授業でフランス語を完璧に習得していた。英語はBBCニュースをラジオで毎日聞いているうちに難なく使えるようになっていた。4か国語を自在に使えたから就職活動では全く苦労がなかったのだった。しかし、就職して4年目にその食品会社が倒産した。若く知的なアルノンは直ぐに働く場所を持った。ダイヤモンド街近くに位置するカールトンホテルのフロントマンになったのであった。カールトンには世界中から多くの人が訪れ、ダイヤモンド街の長期の休日以外は常に満室状態だった。カールトンと言ってもリッツ系列ではなく、ビジネスホテルに毛の生えたようなものだった。ダイヤモンド街に会社を持つユダヤ人がオーナーだった。ある日ホテルで、その会社の創立50周年記念パーティーが催された。500人あまりを招待した立食パーティーだった。狭い宴会場は一杯になり、バーラウンジにも大勢の人があふれた。けれど招待客は、ふんだんにある世界各国の酒類を楽しみ、このようなパーティーでは珍しいほどの美味しい料理を堪能した。パーティーは大成功だった。喜びで笑顔いっぱいのオーナーはホテルの支配人に聞いた。

          「皆、口々に料理を誉めてくれた。私も鼻高々だ。今回の料理の材料は何か格別の物だったのか?」

           

          「それはですね、、」

          と支配人が報告を始めた。実は、今回のお酒や料理の材料は、支配人から相談を受けたアルノンが準備した物だったのだ。食品会社に在籍当時の‘つて’を駆使し、安くて質の良い物を厳選。そして早くから、遠く日本や中国からも物品を集めていたのだった。それを聞いてオーナーは直ぐに、アルノンを呼んだ。

          「キミが今夜のメニューの材料を揃えたと聞いたが、それは本当のことなのか?」

          アルノンは頷き、それが可能だった理由を説明した。オーナーは大いに満足して帰宅した。

           

          数日後、アルノンはホテルの支配人に呼ばれ、告げられた。

          「このホテルのオーナーのステファン・アレキシス氏が、ダイヤモンド輸出入の会社をやってるのを知ってるだろう。今朝、オーナーから直々に電話があって、キミをそっちへ貰い受けたいとおっしゃった。もちろん、Yes or Noはキミの自由だ。考えてくれたまえ。」

           

          自由と言われても、断るとホテルの職場の居心地も悪くなるに違いない。かと言って、ダイヤモンドなんてこれまで全く縁がなかった世界。自分がダイヤモンド街で働いている姿なんて想像もつかない。アルノンは大いに悩んだ。三日悩んだが良い考えは浮かばなかった。アレキシス氏に直接話を聞いて決めようとしてダイヤモンド街に足を向けた。折良くアレキシス氏は在室していた。自室に快くアルノンを迎え入れ、『来てくれるんだね』と言った。

           

          「いえ、実はどうして良いのか分からなくてここに来ました」

          アルノンは正直に言った。

           

          「なんだ。そういうことか。心配いらない。ホテルの方が良いのなら、キミにもっと相応しいポジションを用意してあげよう」

           

          アレキシス氏の優しい言葉と笑顔を見て、アルノンは瞬時に決めた。

          「ダイヤモンド街でお世話になります」

           

          それから6年、アルノンはアレキシス氏の傍らでダイヤを学び、“いっぱし”のダイヤ原石バイヤーとなった。ロンドンのDe Beersサイトに参加した後にロシアに買い付けに赴くこともあった。父の母国、アルノンのルーツであるロシアだったが、オランダ国籍のアルノンには冷たかった。ロシア語は全く分からないふりをしていた。それは大きな武器となった。ロシア人同士の会話を理解出来ない顔を装って聞き取り、商談に活かすことができたのであった。だから、アルノンの買い付けた原石は誰よりも安くて値打ちがあった。

           

          更に4年が経過し、アルノンはアレキシス氏の懐刀と見られるようになっていた。しかし、アルノンはアレキシス一族ではないし、ユダヤ人でさえもなかったから、会社の経営陣の中に入るのは難しいと思っていた。そんなアルノンのことを慮ってアレキシス氏は、アルノンに養子縁組の話を持ちかけた。アルノンは大いに戸惑った。義理とは言えアレキシス氏の息子になるということは即ちユダヤ人になることだった。それには大いに抵抗があった。ずっとダイヤモンド街で生きてゆく決心をしてユダヤ風に改名したアルノンであったが、ユダヤ人となれば様々な堅苦しい宗教的風習から逃れられないに違いない。それはいやだった。『はい』とも『いいえ』とも言わずに時間が過ぎた。アレキシス氏から養子縁組の話があって約ひと月経ったある日、アレキシス氏が急死した。心臓麻痺だった。高齢とは言え、杖もなしで元気に歩きまわっていたアレキシス氏だった。アレキシス氏とアルノンの養子縁組の話がダイヤモンド街に漏れ伝わって色々な憶測が巷間に飛び交った。会社の経営陣のひとりだったアレキシス氏の娘婿がアレキシス氏と不仲だった、というような不穏な噂も聞かれた。アルノンは何も言わずに自分が出て行くべきと悟った。新たに会社の代表者となったアレキシス氏の娘に、アルノンは退職願を提出した。慰留されたが、それは儀礼的なものだと分かった。アルノンは努めて笑顔を作って去って行った。1か月喪に服した後、アルノンはダイヤモンド街に戻ってオフィッスを持った。以前からの取引先は皆、アルノンの復帰を歓迎してくれた。小さいながらも自分の城を構え、瞬く間に月日が経過した。

           

          アルノンが独立して3年の時が流れていた。

           

          ミカエルのダイヤモンド街での日々が始まった。オフィスの鍵は持たせてもらえなかったから、出勤時間はアルノンとほぼ同時か少し遅くて構わなかった。それでもミカエルはアルノンがオフィスに来る数分前には必ずドアの前で待っていた。アルノンから古い懐中時計を貰って大事に使った。時計を手に持つのも初めてだった。ただしそれは、1日に15分以上も遅れるので、帰宅の際には必ず中央駅の時計台の前で時刻を修正しなければならなかった。最初の頃の仕事は非常に退屈だった。掃除が終わったら何もすることがなく、用事を言いつけられるまで部屋の隅にずっと立っていなくてはならなかった。立っているだけだと眠ってしまいそうだったから、常に耳をそばだて、目を皿のようにして来訪者とアルノンの商談を理解しようとしたり、アルノンの電話の会話はどんな話なのか想像していた。アルノンは語学の天才のようで、アントワープの言語(オランダ語の方言)の他、英語、フランス語、ヘブライを自在に使いこなし、日本語も多少は理解できるようであった。顧客との電話を切った後、アルノンが小さな声で何か独り言を言っているのを聞いた時は少し驚いた。ミカエルの父親がロシア語で毒づいていたのに凄く似ていたからだ。ハッとなってアルノンを見ると、アルノンはミカエルの顔を見て何故か『しまった』という表情をした。それ以後、アルノンはロシア語の独り言を言わなくなった。ミカエルは、日雇い労務者の時給ほどの日給をもらっていた。家賃取りたて人がやって来ない清潔な住まいもあるし、それで十分だった。

           

          5年の月日が流れた。ミカエルは18歳になり、晴れてダイヤモンド街のIDカードとアルノンのオフィスの鍵を貰った。天にも昇る気持ちだった。髭は生えてきたが、背はあまり伸びなかった。それでも、小柄なアルノンとほぼ同じ背丈になった。何となくアルノンと顔が似てきたようにも思った。ミカエルを5年前から知っている来訪者は、ミカエルはアルノンの親族だろうと推測していたし、新しい外国人顧客には『Your Son?』とアルノンに聞く人も珍しくはなかった。仕事も色々やらせてもらえるようになった。15歳になった時から、アルノンが外出時の電話番を任されるようになった。アルノンの電話には常に聞き耳を立てていたから、電話の応対はほぼ完璧だった。アルノンのように電話を取って、声も似ていたから、アルノンだと思って一方的に用件を喋り出す人もいた。16歳の誕生日が過ぎて初めてピンセットとルーペを渡され、ダイヤに触れることが出来た。手が震えて仕方がなかった。ダイヤは絶対に落さなかった。アルノンは何も教えてくれなかったが、ずっと来訪者とアルノンがダイヤを取り扱う様子を観察していたので、その通りに真似した。特にどうと言うことはなかった。30分も続けてやって問題なく扱うことが可能になった。小さなデスクと椅子を貰って、ずっと座っていることを許された。部屋の中で立っていることが普通だったので変な感じがした。ある時、メレダイヤのパーセル(紙包み)を渡された。パーセルには、『1/30 RB White SI 5.03ct』と書かれていた。アルノンから『程度によって上中下の3つに分けろ』と言われた。30個で1カラットの大きさの物、即ち1個当たり約0.033カラットが約5カラット、合計約150個のパーセルだ。色は無色透明で、インクルージョンが多少あるSIクラスの物を、インクルージョンの良し悪しで3等分しろ、という命令だった。簡単だと思って始めたが、なかなか捗らなかった。30分くらい経過してもまだ出来ていなかった。アルノンに、『能無し。帰れ!』と怒鳴られた。ダイヤはパーセルの中に戻されてピンセットとルーペも取り上げられた。ミカエルは泣きながら『もう1度だけやらせて下さい』と懇願した。アルノンは何も言わなかった。ミカエルは部屋の隅に立っていた。夕刻になってミカエルは部屋から追い出された。また涙があふれた。

           

          翌朝、ミカエルは、アルノンが出勤する1時間以上前からオフィスの前で立って待っていた。アルノンがやってきた。『おはようございます』と挨拶しても無視されたが、アルノンに続いて事務所に入ろうとしても拒まれはしなかった。以前のように部屋の隅に立った。アルノンが金庫からパーセルを取り出し、『やってみろ』と言った。昨日のパーセルだった。目の前に光明が見えた。昨夜は眠れず、再度チャンスを貰ったらどうやるべきか一晩中考え続けていたから、15分くらいで3等分することが出来た。しかし、アルノンがチェックして、それらをバサッと元のように混ぜ合わせてしまった。『やり直し』と言われた。今度やり損なったら本当にここから放り出されるに違いないと思った。ミカエルは必死の形相でメレに立ち向かった。先ほどより少し時間を掛けて、20分ほどでアソートを完了した。アルノンはチェックを終えて、3つの小さなメレの山をそれぞれ別のビニールパックに入れ、´↓とナンバーを書き込んだ。ミカエルは安堵の溜息を洩らした。アルノンはそれから直ぐに別のパーセルを取り出し、ミカエルのデスクの白いパッドの上に置いて言った。

          「カラーで4つに分けろ」

           

          パーセルには『1/50 RB LC VS 6.55ct』と書かれていた。パーセルを開けると、薄い黄色に輝いていた。50個で1カラットのサイズ、合計約330個だ。数は最初のパーセルの倍以上になったが、ルーペを使う必要がなかったから、10分くらいで完了した。出来栄えには自信があり、アルノンも何も言わずにそれらを4つの小さなビニールパックに入れた。このような日々が1年以上続いた。時には0.3crtほどの大きさの美しい‘ロシアもの’のアソートもやった。DEFカラーのVVSVSだった。相当量のメレをアソートさせられていたから意外に簡単だった。ミカエルは、どんなダイヤモンドの会社でもやって行けるほどのアソート技術を身に付けたが、自分自身ではそのようなことを知る由もなかった。あんなに憧れて入ったダイヤモンドの世界なのに、時おり夢の中で大量のメレを目の前にして‘うなされ’たりした。それだけに、ダイヤモンド街のIDカードを手にしてミカエルは生き返った心地がしたのだった。

           

          15歳になった時から誕生日を迎える度に、アルノンから新たに何かを命じられてきたから、18歳の誕生日も期待と不安を同時に抱いた。“それ”は、なかなかやってこなかった。18歳の誕生日から2カ月以上経過したある日、アルノンはミカエルに言った。

          「お前の給料をベルギーの大卒並みにしてやる。その代り、自分で住居を見つけて支払もするように」

           

          ミカエルは面喰った。大卒並みと言われてもピンと来なかった。15歳の時からは、日雇い労務者並みの日給を貰えるようになり、相変わらずアルノンの契約したアパートに一人暮らしだったから、普通のベルギー人と変わらぬ生活が送れ、何も不満はなかったのだった。

           

          アルノンの話はそれで終わりではなかった。

          「今日からセールスをやってもらう。」

           

          青天の霹靂だった。全く迂闊なことに、そこまで考えが及んでいなかった。

           

           ―続く―

           

           

           

           

           

           

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          Out of the Blue
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            2億円のダイヤ盗難!?

             

            50crtsらしいですな。

            昨日の午後、横浜で開催されている『国際宝飾展』の会場で起こった事件、

             

            ネットの記事によりますと、

            午後5時くらいにお客さんに見せた後、ショーケースに戻した折りに施錠をせず、午後6時の閉店作業中に現物がないことに気付いた、、、

            とのこと。

             

            毎年1月末のIJTでは盗難事件なんかは“常識”、

            何万円から数百万円まで、ほぼ“日常”とも言える出来事ですけども、

            『億』ともなりますと、やはり‘ニュース’でございますね〜

             

            けれど、この種のことに接しますと、我々業界人というのは、まあロクなことを考えない、と言いましょうか、素直に記事を読みませんね、『何か裏があるに違いない』と感じます。

             

            まず、時価2億と聞いても業界人は誰も驚きません、『またまた、ここぞとばかりやな、それにしても“言い過ぎ”やろが〜』、というのが第一印象。

            1,000万とは言わんが、まあせいぜい正味2,000万から3,000万の商品やろな、

            とかってね、思うわけです。

             

            だいたいやねぇ、そんな高額品が催事で売れる訳がないし、ただでさえ盗難が多い昨今の宝飾催事、ホンマに2億もするのなら、商品をわざわざ持ち出して展示会場に並べるはずがないのです。どうしても『見せたい』と言うのであれば、本物に似せて作ったレプリカを置いて、『現物見たい!』と言う人に会社に来てもらえば良い、本当に欲しい人は後日、絶対に会社に出向くはずですし、大勢の人がいる展示会場で2億の商談がまとまるはずがないし、たとえそれが1億で商談成立となっても、その場で現金が支払われるはずがない。

             

            その商品が、盗難に遭ったと言う会社の在庫か、それともどこかから借りてきた物なのかは、当然ながら言及がありませんけども、いずれにしても、1億や2億の物が盗られたら、決して大きくない我々の業界の企業は一気に経営危機に瀕します。だから、そんな超高額の商品を催事に出すというようなリスクを背負うことは絶対にする訳ないのです。

             

            保険は?

            このような“事件”に保険が活用できるのなら、保険会社こそ既に経営危機に陥っております。

             

            今回のような“事象”、、そう、あえて“事象”と言いましょう〜

            どうも“事件”とは考えにくい・・・

             

            ショーケースに施錠してない!?! 

            何を寝ぼけたことを!

            たとえ2,000万でも3,000万でも、1個でそれほど高額の物が入っていたら、

            しっかりと施錠して専任ガードマンも付けるやろ!!

             

            ホンマおかしいと言うか、面白いことだらけ、“なんば花月”で吉本の喜劇見てるようなもんやね、、観客席からは全部見えているという〜〜

             

            まあ要するに、

            『盗られた! 2億円盗られた!!』と大騒ぎする理由がある。

             

            狂言か、内部犯行か。

             

            何かを隠したい?

            何かを見つけたい?

             

            儲かり過ぎて税金対策、それとも逆に経営危機。

            でなければ、

            最近に社内で起こった内部犯行の盗難事件の犯人を炙り出すため。

            または、

            経営者がスキャンダル隠しのために自作自演。

             

            ・・・・とまあ、いずれにしても下らんですな。

             

             

            え―っと、これはダイヤモンドのお話になるのかと言いますと、ちょっと違うだろうと言われるでありましょうが、、

            今朝の産経新聞第一面の一番下のPR記事・・・

             

            2019年(第28回)ブループラネット賞に、アメリカの大学教授で生物学者の、Jared Mason Diamond氏が選ばれた。』

             

            この賞は、旭硝子財団が主催し、地球環境問題の解決に貢献した人や組織に贈られるものなのだそうですな。賞の名称は、旧ソ連の宇宙飛行士、ガガーリンの言葉、『地球は青かった』にちなんで名付けられたことは言うまでもありません。

             

            UKI氏はこの記事の中に何を見たのか?

             

            Diamond博士は、受賞の喜びを『Out of the blue』と表現しているのですね―

            『青天の霹靂』

            まさに“Out of Blue Diamond”だったと言う訳で。

             

            しかしながら、

            本来のダイヤモンドの世界においては、高品質のBlueダイヤがリーズナブルな価格で存在することこそ“青天の霹靂”、

            Fancy BlueFancy Intense Blueを日常見ることが出来たらなぁ〜って、つくづく思いますよね。

             

             

            さて、今週火曜日の『即位礼正殿の儀』、

            古式ゆかしく、平安王朝を偲ばせる儀式、

            UKI世代や我々より年長の人たちにとっては『次』があるかどうか分かりませんからね、『今回が生きて見られる最後かも』と思って見た人も多いのではないかと思います。

             

            前回、平成2年の折りは好天に恵まれ、当時の海部首相のデコがやけに光っていたなと、、そんなことしか覚えていない自分が情けないですが、今回の雨の中の儀式、雨ならでは、色んなものを洗い流して静謐そのもの、『こういうのもありだな』と、改めて感じ入りましたね。

             

            海外の反応がまた興味深いですね。

            フランス紙フィガロは万歳に関して、『Banzaiは一万年を意味する』と伝えたのだとか、、、そう言われれば・・・気が付きませんでしたね、これまでウッキーは何と思っていたのだろう、迂闊でございました。

             

            中国では、伝統的な衣装が素晴らしいと評判。これまたちょっと笑えるね。ああいう一連の皇室行事は、だいたいが古代中国王朝のものを真似たか参考にしているに違いないのにね。今年41日の『令和』発表の折りや、51日の『改元』の際に、中国のテレビではわざわざ座談会を設けての討論があったそうですな、、、『ほう、初めて漢籍を外したか』『いや、令和とて本来は漢籍だろう』、『他の〇〇の方が良かったのでは』、なんてね、大真面目に議論を交わしていたとか〜自分たちがオリジナルなのに、もうそれが自国に存在しない無念さと言うか、懐古の情なんですな。そのような姿を日常に見せてくれているとね、中国にも親近感が湧くのですけどね。

             

            海外の反応にはやはり日本の伝統美を褒め称えるものが少なくありませんね、

             “unearthly―この世のものとは思えない

             “A feast for the eyes and the senses.”―目と感性を楽しませてくれる。

             

            祝宴の華やかさもまたこのような折りならでは。

            と言うてもね、ご列席の皆さん、失礼ながら若いピチピチのプリンセスなんぞは来てないしね〜っと思っていたら、ブルネイの王子がまたやけに男前でかっこいい、ホンマ驚きました。

             

            簡素、上品、洗練されている、等々、

            皇居における儀式と祝宴に関して各国メディアから大いに称賛され、国民の一人として誠に誇らしいです。

            欧州や中東の王室の絢爛豪華さとは違って、皇居の宴席の場、豊明殿は落ち着いた色あいで統一され、室内の装飾はほとんどないのだとか。しかしそれがかえって外国の賓客の感動を呼ぶのだと・・・まさに茶道の心と言いましょうか、茶室と同じですね、“清楚”であるところに品格と厳かな伝統を感じさせる。

             

            改めて日本の良さを完璧に感じさせてくれた天皇陛下の即位の儀式、

            言葉で表現したい日本の美、言葉で表せないほど素晴らしい日本の美、

            今回のような機会を持つ度に、もっと優れた日本語の使い手でありたいと、切に感じます。

             

            全く不十分な日本語の書き手ながら、、一つハッキリと言えることが〜

             

            50カラットのダイヤは日本人には似合わない、

            やはり小粒のカラーダイヤがよろしいかと。

             

             

             

             

             

            | ukitama | - | 16:57 | comments(0) | trackbacks(0) | - | - |
            シンメトリー
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              ラグビー日本代表に大きな拍手を!

               

              残念ながら準決勝進出はなりませんでしたが、彼らの力強い戦いは世界中から称賛の嵐、褒め称える言葉しかありませんし、全ての日本国民に勇気を与えてくれた彼らには、どれほど感謝の気持ちを表しても足りないような気がいたします、、本当にありがとう。

               

              もう今から4年後が今から楽しみですね。

               

              南半球の強豪国と互角の勝負をするのはもっともっと先のことかもしれないけど、ワンステップごとに着実に力たくわえ結果を残してきた日本代表。次回もきっと日本中に夢を見させてくれるに違いありません。ウッキーのような“にわか”が、今後どれほどラグビーの試合に魅了され続けるのか、ちょっと分からないですけどね、そう〜この冬に日本国内で行われるトップリーグ、年明け早々から再開されるようですけども、どれだけそれに注目できるのか、ちょっと自信がない―というのも事実で、、、それでも“大詰め”、強豪同士の大一番となったらテレビ観戦するのではないのかなと思ったり〜・・なんせ飽きっぽいですから。サッカーだってJリーグが始まった当初は見ていたけど、最近は代表戦しか見ないし、、、多分、皆さんも同じでありましょう。いずれにしても、もっとルール覚えて戦術面とかも“学習”しないとダメでしょうな、この程度の知識のままでは早晩詰まらなく感じて来るのではと思います。そう、折良くと言いましょうか、World Cupはいよいよクライマックス、準決勝、三位決定戦、決勝と4試合もハイレベルな試合が見られます。この間にルールと戦術を勉強して“にわか”から少し進化することを目指したいと思います。

               

              ところで、ウッキーよりも“にわか度”が高いUKI嫁が申すには、

              『ラグビー選手は野球よりも‘イケメン’揃いや』と。

               

              なに! これは聞き捨てならんぞと、何もウッキーが一生懸命になることはないのでありますけども、、元高校球児としては気になる〜・・・家内が続けて言うには、

              『ラグビー選手の顔は“シンメトリー”が優れている』ってね。

               

              そう言われて、国歌演奏時に並ぶ両軍のフィフティーンをよく見てみれば、

              いやホンマに、見事な左右対称の顔が揃っているのですな、顔写真を真ん中で縦に半分にして、どちらかの半分を裏返しにして繋ぎ合わせても本当の顔とほぼ同じと言える顔でありますね。動物行動学者の竹内久美子氏がその著書で述べておりましたけども、まさしくこれは良い遺伝子を持った顔、どのような厳しい環境でも生き抜くことが出来る体を持った証拠、という訳です。だから女にもてる!

               

              確かにね、もともと丈夫な上に鍛えて鍛えてあの逞しい身体、

              奴らだったら、20日間くらい食物無し水無しでも生きていけそうやし、野獣と闘っても負けなさそう、ホント頼り甲斐ある存在。

               

              しかし、彼らは、鍛えたから顔のシンメトリーが良くなった訳ではなくて、

              強烈に激しいトレーニングに耐えられる身体があったからこそより逞しくなれた、、即ち、もともと厳しいトレーニングに耐えられる強い身体に生まれついた者が、シンメトリー良い顔を持つ、ということなのでありますね。

               

              さて、ラグビーは野球よりイケメン揃い、という家内の言葉には同意しかねる元球児ではありますけども、、

              《シンメトリー良い = 美しい》

              という公式には大いに同意いたします。

               

              皆さんは日ごろ、どの程度ダイヤモンドのProportionCut & PolishSymmetry(シンメトリー)に気をお使いでしょうか?

               

              “業界人”ならともかく、一般消費者の方がBridal Ringを求めている場合でない限り、ダイヤモンドのカット全般に気を使うことはあまりないでしょうね。我々業界人でさえ、カット全般の良し悪しやその理屈が分かるようになったのは業界入りして34年後のこと。ですから、消費者の皆さんが、そのあたりのこと、現物を見たって良く分からない場合が多いですし、かなり良く撮れてるダイヤ画像であっても、“写らない”ことの方が多いですから。

               

              しかし、Symmetryは、ProportionPolishに比べてまだ消費者の方々にも、お分かりいただけやすいものだと思います。まあ要するに、ラウンドなら“真円に近いかどうか”、変形物なら人間の顔と一緒、左右対称かどうか、というだけのことですから。

               

              今後、皆さんがそのへんの“感じ”をしっかりと意識いただけるように、画像を参考にしてご説明いたしましょう〜

               

              まず、ラウンドの“良くない”物。

               

               

               

              このダイヤのシンメトリーのどのへんが良くないのか、お分かりになりますか?

              時計の文字盤で言いますと、ちょうど12時のあたりが少し“尖がり”気味です。ホント僅か。気にならないと言っていただける範囲ではありますが、我々はこれをルーペで見つけて非常に気になります。

              理屈を付けるとするならば・・・

              AGTのソーティングのDiameterをご覧ください・・・

              2.61-2.64mm、最小が2.61mmで最大が2.64mm

              たった0.03mmの誤差ではありますが、誤差が1%を超えますと、このように見える訳です。

               

              もう一つ、ラウンドの“良くない”物。

               

               

              これは、直径が2.75-2.80mmということで、誤差が0.05mm2%近い誤差ということで、明らかに11時あたりが膨らんでいる感じですね。肉眼では全く分かりませんが、ルーペでは瞬間で分かります。

               

              そして、これらがラウンドの“良い”物、2点。

               

               

              どうですか、

              ほぼ“完璧”とも思えるでありましょう。

              ホント美しいシンメトリーです。

               

              しかし、これらにも誤差があるのですよ〜

               

              これです。

               

              直径の誤差がわずかに0.02mm1%未満です。

              誤差1%未満になりますと、このように見えるということがお分かり頂けると思います。

              もちろん誤差ゼロのダイヤも時おり見かけますし、当店でも当然扱いがありますが、なかなか過去の画像の中から見つけだすことが出来ません。ロシアもののDカラーExcellentの世界では日常の商品ではありますが、やはりカラーダイヤとなりますと非常に稀少な物ということです。

               

              次に、変形物の良くない物を見てみましょうか〜

               

               

              普通はあまり気にならないかもしれませんが、

              こういう場合は敏感になりますね、、

              絵に描いたような左右非対称、

              左肩と比べて、右が“なで肩”ですね。

              歩留りを考えたか、あるいは、右肩の部分のキズを削り落したか、ということでありましょう。

               

               

              これは極極少しと言いますか、ホント残念と言いますか、ハートの形は綺麗なシンメトリーなのに、アライメント調整不足〜・・・縦のセンターラインがハートの真ん中の“くぼみ”と一致してないですね。これがピッタリと揃いますとVividの輝きもいっそう艶やかと成るに違いありません。

               

              以下のスクエアは綺麗なシンメトリー、

              厳密に言えば、ほんのわずかズレがあるのですが、

              “科学”しても仕方ないですから、我々でも許容範囲というシンメトリーです。

               

               

              どうですか、

              少し意識してみるだけで、かなりダイヤも違って見えるものでありましょう。

               

              もちろん、カラーダイヤの場合は、何と言っても色味が大事、

              色に惚れてしまえば、あとは何だって良い、とも言えます。

               

              しかし、たまには“完璧”とも言える形の物も持ちたい、というのが人情でありましょう。そんな時が来たら、またこのページを思い出していただけたらと思います。

               

               

               

               

              | ukitama | - | 16:40 | comments(0) | trackbacks(0) | - | - |
              枯淡
              0

                涼しくなって秋本番。

                〇〇の秋〜・・・

                〇〇の中にはどんな漢字が入るのでありましょうか?!

                UKI氏はもちろん『読書の秋』でございますね、常にアカデミックなUKI家ですから、秋になりますと、いっそう“アカデミックレベル”がアップいたします・・・

                 

                はい、ウソです、すいません、

                『減量の秋』を目指しまして直ぐに挫折、

                皆さん同様に、

                『食欲の秋』へとまっしぐら!

                 

                ところがですな、

                今月24日の誕生日、

                『さあ、何を食べに出掛けようか』、あるいは家で『どんなメニューを家内にお願いしようか』、と考えましても、具体的に何も思い浮かばないのですね。

                少し前までは、是非とも今年は兵庫県の日本海側の漁港、香住にカニを食べに行こう――なんて思っていたのに、いざネットで“カニ宿”を探してみますと、これが普通の温泉旅館なんかより格段に高い! 写真で見るに標準レベルよりも下の部屋のような気がするのに、12食、カニのフルコース〜みたいなプランが1人3万円とかですよ。2万円前後だったら民宿やないですか。なんや結局のところカニ代に2万も3万も払うっちゅうこっちゃ、、どう考えても、これはあまりにコストパフォーマンスが悪すぎる。1人3万とかだったら、シティーホテルのかなり良い部屋だよなぁ〜とかって考えているうちに、“カニへの想い”はすっかりと萎えてしまいました―

                 

                数字と理屈で“食欲の秋”を満たそうなんて考えるのは正しくない、

                というのは頭では分かってはいるけど、

                いったん気持ちが萎えてしまいますと、どうしようもないものですな。6日後の誕生日は“食”よりも“酒”、スコッチのシングルモルトと大好きなブルーチーズで一人お祝いいたしましょう・・・家内はブルーチーズの匂いが大嫌いでね、ブルーチーズの半径5m以内には近寄らないのです〜・・・

                 

                皆さんの『食欲の秋』、

                またお聞かせください。

                 

                『今昔物語集』に載っていた話のひとつ・・・

                平安中期に、藤原朝成(ふじわらのあさひら)という賢明で胆力があり、知識に優れて音楽の才能にも恵まれているという多くの人から羨ましがられるような公卿がいたそうですな。ところがこの朝成氏、実際のところは全く羨ましがられてはおりませんでした、Why?

                相撲取りを超えるような超肥満だったから。

                本人も、もっと姿が良かったら女にもてるのに、、、と気に掛けること尋常ではなく、ある日、医者を呼んで相談したそうな〜

                医者は、

                『冬には湯漬け飯、夏には水漬け飯だけを食せよ』と言う。

                ところが、半年経過しても全く効果が現れない。

                朝成氏が、『何も効きめないぞ!』と言うものですから、医者はこっそりと朝成氏の食事風景を覗きに出掛けたのですな、、、

                すると、な、な、なんと、

                瓜を10個に、鮎鮨(あゆずし)30尾をおかずに、大きな椀にメシを盛って少し水を掛けて喰らい出す、、メシはアッと言う間に腹の中に! 

                そして、家来の給仕係に『代わりを盛れ』と。

                医者は呆れかえって見放した〜

                 

                これはもう“壮絶”というほどの食欲ですな、ここまでしなくとも、という気がします。

                 

                しかし、平安期は藤原氏一族と言えども、メシの他は鮎やら瓜やらしか食えないのか?

                 

                そう言えば、

                『源氏物語』には食のシーンがホント少ない、とかって誰かが言うておりましたな。

                光源氏は、ひたすら専ら♂♀ばかり、三度のメシよりもスケベが好き、

                ではありますけども、実際、貴族であっても貧相な食事、いかに紫式部の文章能力が卓越していても、貧相な食は書けないということでありましょう〜特に海のない京は酷かったに違いない、、、、ご飯に魚の干物、そして野菜。極まれに鴨や鶴の肉。

                獣肉なんか食ってると繊細な感性が損なわれて優れた歌が詠めない?!

                 

                ひょっとしたら、

                日本の優れた文学は貧しい食生活のお蔭?

                 

                そうですね、私たちもやはり“食”よりも叙情。

                というところで?

                今日もまた、名著の中に日本の美を見つけてみましょう〜

                 

                漱石の『硝子戸の中』より・・・

                 

                「時候の挨拶、用談、それからもっと込み入った懸合―これらから脱却する事は、如何に枯淡な生活を送っている私にも六(む)ずかしいのである・・・」

                 

                “枯淡”、

                人のありようということでは、富や名声と言った俗世の価値観から離れたところにある趣きのある様子、

                絵画や文章などでは、俗気がなく、一見あっさりとしている中に深い趣きがあること。

                 

                『枯淡』をカラーダイヤとシンクロさせるのはやはり無理がある?!?

                 

                はて、

                俗気を含まないダイヤなんて存在しているのだろうか、

                と考えてしまいますね。

                 

                ダイヤモンドが宝石の一種である以上、

                “宝”という字が付いている以上、俗気とは縁が切れない。

                 

                しかしそれでも、あえて、カラーダイヤに『枯淡』を求めたい。

                カラーダイヤの‘ある部分’っていうのは、『枯淡』であるべきだし、実際に『枯淡』なのだと、感じたいですね。

                 

                我々は単に宝石を求めているのではなく、

                単にダイヤモンドを欲しているのではなく、

                言うなれば、

                カラーダイヤによって“昇華”したい、、、

                 

                そんなふうに感じていたい秋になりました。

                 

                 

                 

                | ukitama | - | 16:57 | comments(0) | trackbacks(0) | - | - |
                後の月
                0

                  関東甲信越から東北にかけて大災害をもたらした台風が去って、

                  今日は何か申し訳ないほどの快晴の大阪、

                  気温も20℃前後でありましょうか、半袖で過ごすにはちょっと寒い気がいたします。

                   

                  60近い河川の水が溢れるなんてね、100年に1度どころか、有史以来初めてのことなのでは?

                   

                  これだけ毎年毎年、日本のどこかで台風による被害や犠牲者が多いにも関わらず、逃げ遅れたり避難せずに被災したりという人が大勢いるというのはどういうことなのでありましょう。

                   

                  UKI氏が思うに、自治体の台風に対する備えも不十分であることの他に、自治体や気象台の台風に対する昨今の対応があまりに「羹(あつもの)に懲りてなますを吹く」、あるいは『狼少年』的!

                  ちょっとした風雨であっても即座に『警報』と『避難勧告』の大奉仕と大安売り。

                  住民にとっては『あ〜、いつものこと』と、ノンビリ構えてしまっていても仕方ないですよね。

                   

                  大阪でも12日の土曜の早朝から府内全域で“暴風警報”ですよ。明らかに台風の進路から外れていて、時間とともにどんどん遠ざかって行くのが明らかなのにね。

                  『それなら!』と、ウッキーは土曜の午前7時くらいから傘さしてジョギングパンツにTシャツで“巡察”に出掛けたのでありました〜どんな“暴風”なんやろとね、酔狂なことですな、まだ酒は飲んではおりませんでしたけども〜

                  早足で1時間ほど、二駅分くらい歩いても一向に台風らしくならない!

                  確かに“そよ風”ではありませんでしたが、ちょっと風が強いかな、という程度、傘が風に持って行かれるというような感じではございません。時おり強い雨になってね、予想通りに膝から下はズブ濡れ状態で、これはどちらかと言わないまでも、『暴風警報』よりも『大雨注意報』であろうと。

                  帰宅して濡れた体にシャワーしてタオルで拭いて出てきてみれば、ケイタイが大きな音を立てております〜ご丁寧なことに、市内全域避難勧告、ですと、

                  アホくさ―

                  これしきの風雨で誰が避難する?

                  ホント馬鹿じゃないかと呆れます。

                   

                  まあ所詮、お役所のやることはこの程度。

                  万が一の際の責任逃れのために、1%でも不安があれば『警告』と『勧告』のバラ撒きですな。こういうことの繰り返しが住民の緩慢な動きを助長しているという懸念すらない。結局、お役所の出す『警報』や『勧告』っていうのは住民のためではなく、お役所の保身のためなんですよ、全く馬鹿げておりますな。

                   

                  台風の進路上にない自治体の長や防災担当者が、市役所等に籠って成り行きを見ているのかと言うと、そんなことは無さそうですな。自宅の布団の中からケイタイで部下に指示飛ばしているということもあるに違いない。そんな不届き者は少数でありましょうが、はたして外に出て風雨を“体感”しているかと言うと、それも考えられないですな。テレビのニュース見て、部下に『大したこと無さそうやけど、一応、避難勧告出しといて〜、ワシはまた寝る。何かあったら電話くれ』ってな感じやろね。

                   

                  地球温暖化はますます酷くなりそうで、来年以降の台風はもっと巨大化?!

                  気象庁は、台風が南鳥島に接近しただけで、47都道府県全部に『暴風大雨警報』を発令するのではないですかな、嗚呼――

                   

                   

                  さて、皆さんもご覧になったことでございましょう〜

                   

                  祝、8強! 決勝トーナメント進出!!

                  やってくれました、ラグビー日本代表。

                   

                  しかし、スコットランドは流石に試合巧者でございましたね。

                  前半終了時の21点リードが、もう大丈夫やろと思った途端の反撃、

                  後半開始とともにアッと言う間に7点差に!

                  同点にされたら最後、そのまま敵の流れになって直ぐに引っくり返されるだろうと、ドキドキびくびくして見ておりました。後半の残り20分が長かったね〜なかなか時計が進まない、1分が10分くらいに感じました。それだけにいっそう喜びが大きく、いやホントHappyという感じ。

                   

                  大興奮の夜だったけど、ラグビーの大一番というのはゲーム中にお酒飲めないね、それどころやないって思いました。

                  ゲーム終わって少ししてやっと、家内と乾杯。

                  こんなことなら上等なスコッチでも買っておけば良かったなあと後悔しましたが、トリスでもオールドパーに匹敵?!

                  大いに満足でございました。

                   

                  さあ今度の日曜は準々決勝、南ア戦、

                  もう既に胸が躍っております、楽しみ!

                   

                  ・・・・台風過ぎ去ってみれば、、、

                  晩秋という言葉が何かフィットして来そうな気がする今日の空気、

                  そして、一昨日昨夜今朝の月、ホント綺麗ですよね。

                   

                  それもそのはず、恥かしながらこれまで知らなかったのですよ、

                  『後(のち)の月』。

                  正確には、陰暦九月の十三夜を言うのですが、

                  中秋の名月の約ひと月あとの名月というわけです。

                  『名月』を二度愛でる、、、中秋の名月を愛でる習慣は中国から入ってきたのに、『後の月』の習慣は日本にしかないとか、しかも満月ではなく十三夜。シンメトリーが整ってないものを愛するという、、日本人ならではの感性です。

                  昨日は旧暦九月十七日ですから、欠け方は“逆十三夜”って感じ。それで余計に美しく感じた?!

                   

                     泊まる気でひとり来ませり十三夜

                            ―蕪村―

                   

                  そう、確かにそうですよね、

                  何かが足りないから、少し欠けているから、ちょっと不完全であるが故の美しさ、確かにあります・・・・

                  端の方から、長いクリベージがセンター付近まで延びているDカラーのI1のラウンドとか、

                  先端がチップして欠損している縦横のバランスがパーフェクトなペアシャイプとか、

                  テーブルの中に大きなインクルージョンがあって、そこに色溜まりがあるFancy Intense PinkI2とか、

                  グレインラインのせいでガサガサしているが故にかえって趣き感じるPurpleとか・・・

                   

                  これからの晩秋、そんなダイヤたちにも是非ともご注目!

                   

                   

                   

                   

                  | ukitama | - | 16:46 | comments(0) | trackbacks(0) | - | - |
                  修正・マトリョーシカダイヤ
                  0

                    一昨日の『マトリョーシカ・ダイヤモンド』の翻訳に大きなミスがありましたので、修正させていただきます。

                    申し訳ございません。

                    実は昨日、お客様のお一人から正しい訳をお送りいただきました。

                    正しい翻訳とともに、それを説明する図まで添付してお送りくださいました。

                    本当にありがとうございます。

                    はい、これです〜・・・

                     

                     

                    “We have two main hypotheses. According to the first version, a mantle mineral captured a diamond during its growth, and later it was dissolved in the Earth's surface. According to the second version, a layer of porous polycrystalline diamond substance was formed inside the diamond because of ultra-fast growth, and more aggressive mantle processes subsequently dissolved it.”

                     

                    『2つの主要な仮説がある。最初の段階で、マントルの鉱物質が、その成長中にダイヤモンドを捕え、後に地球表面で溶かされた。次の段階で、多孔性多結晶ダイヤモンド物質の層が、超高速成長によってダイヤモンドの中に形成され、それに続くより活動的なマントルの進行によって、それは溶解させられた。』

                     

                       ↓

                     

                    『二つの大きな仮説がある。

                     一つ目の仮説は、マントルの鉱物質が、成長中のダイヤモンドを捕え、 後に地球表面で溶かされた。

                     二つ目の仮説は、多孔性多結晶ダイヤモンド物質の層が、超高速成長によってダイヤモンドの中に形成され、それに続くより活動的なマントルの進行によって、それは溶解させられた。』

                     

                     

                    如何でございましょう、

                    これでスッキリ解明!

                     

                     

                    さあ今日はプロ野球のCSに、ラグビーの日本対スコットランドの大一番、

                    スポーツイベントが盛りだくさん、

                    楽しみですなぁ。

                     

                    カラーダイヤもお忘れなく!

                     

                     

                    | ukitama | - | 08:35 | comments(0) | trackbacks(0) | - | - |
                    マトリョーシカ・ダイヤモンド?!
                    0

                      大型台風の接近、

                      明日の関東地方は大荒れの予報ですね。

                      どうか皆さん、くれぐれもお気を付けください。

                       

                      それにしても10月に大きな台風がやってくるなんてね、ちょっと記憶にないですな。季節がちょうどひと月ズレている感じです。

                      このまま行きますと、今年の関西の紅葉の見ごろは年末くらい?!?

                       

                      さてまあ、明日の土曜はラグビー始め、ほとんどのイベントの中止が既に決まったようで、

                      ホンマつまらんですな。

                       

                      こんな時はやはり当店のカラーダイヤ、

                      これしかない!

                      皆さん、じっくりとお買い物を!!

                       

                      ところで、

                      昨日だったか一昨日だったか、

                      面白いニュースが入ってきておりましたね、ご覧になった方も多いのではないかと。

                       

                      Matryoshka diamond』(マトリョーシカ・ダイヤモンド)

                       

                      Matryoshka(マトリョーシカ)というのは、『ロシアこけし』でございますね。

                      デザインと形が同じで、大きさの違う‘こけし型’人形を何体も作って、“入れ子”というのでありましょうか、大きな物の中に少し小さい物、その少し小さい物の中にそのまた少し小さい物、、、と、人形の体内にいくつも納めて・・・

                       

                      これこそ写真の方が断然わかりやすい〜

                       

                       

                      Diamond in diamond

                      こんなダイヤが発見された!

                       

                       

                       

                      アメリカのニュース専門チャンネル、Fox Newsの記事〜

                       

                      An exceedingly rare gem known as a Matryoshka diamond has been unearthed by miners in Russia.The diamond, named for itsresemblance to traditional Russian nesting dolls, was discovered in Yakutia at the Nyurba mining and processing division of Alrosa.

                       

                      非常に珍しく、マトリョーシカ・ダイヤモンドと呼ぶべき物がロシアで産出された。ロシアの伝統的な入れ子人形に模したようなそのダイヤは、AlrosaのNyurba鉱山の処理工程のYakutiaで発見された物である。

                       

                      Experts believe it is the first known diamond in history to have this unique nested quality. They also estimate the diamond to be around 800 million years old.

                       

                      専門家によると、これは約8億年前の物と推定され、史上初めての発見ではないかと言われている。

                       

                      Scientists studied its structure using Raman and infrared spectroscopies, as well as X-ray microtomography. Based on their studies, according to Alrosa, scientists hypothesize that the internal diamond came first and the external one formed during later stages of growth.

                       

                      科学者たちは、ラマン分光法と赤外線分光法、そして、X線マイクロトモグラフィーを使ってその構造を精査した。

                      Arosaにおける研究者たちによると、まず内部のダイヤが出来、外部の物が後になって成長したと言う。

                       

                       

                      "The most interesting thing for us was to find out how the air space between the inner and outer diamonds was formed.”

                       

                      『私たちにとって最も興味深いことは、内側と外側のダイヤモンドの間のスペースがどのように形成されたかを見つけることであった。』

                       

                      “We have two main hypotheses. According to the first version, a mantle mineral captured a diamond during its growth, and later it was dissolved in the Earth's surface. According to the second version, a layer of porous polycrystalline diamond substance was formed inside the diamond because of ultra-fast growth, and more aggressive mantle processes subsequently dissolved it.”

                       

                      『2つの主要な仮説がある。最初の段階で、マントルの鉱物質が、その成長中にダイヤモンドを捕え、後に地球表面で溶かされた。次の段階で、多孔性多結晶ダイヤモンド物質の層が、超高速成長によってダイヤモンドの中に形成され、それに続くより活動的なマントルの進行によって、それは溶解させられた。』

                       

                      “Due to the presence of the dissolved zone, one diamond began to move freely inside another on the principle of matryoshka nesting doll.”

                       

                      『溶解されたゾーンの存在により、ひとつのダイヤモンドはマトリョーシカの入れ子人形の原理に基づいて自由に動き始めた。』

                       

                      The Matryoshka diamond is just 0.62 carats.

                       

                      マトリョーシカ・ダイヤモンドはわずか0.62crtである。

                       

                      "As far as we know, there were no such diamonds in the history of global diamond mining yet. This is really a unique creation of nature, especially since nature does not like emptiness. Usually, some minerals are replaced by others without cavity formation.”

                       

                      『私たちが知る限り、地球上のダイヤモンド産出の歴史において、このような例はない。自然は無の空間を好まないため、これは本当に特異とも言える自然の創造物だ。通常の鉱物は、空洞構造なしで他の物と取り替えられる。』

                       

                      The diamond will now be sent to the Gemological Institute of America for futher testing.

                       

                      このダイヤは、さらなる検査のためにGIAに送られる予定である。」

                       

                      ・・・・・・・・・・・・・・・

                       

                      凄いですね、史上初!

                      しっかりと画像を残しておかないといけませんね。

                      ダイヤの中にダイヤがあって、その中のダイヤが動く!

                      ホンマ信じられへんことですよ。

                       

                      GIAに送ってと書いてあったけど、その後はどうなるのかな?

                      どこかのオークションに掛けられるのでありましょうか、

                      気が早いが、How much??

                       

                      興味津々でありますね。

                       

                      しかし、、

                      どうしてこのような構造のダイヤモンドが出来上がったのか、

                      我が翻訳ながら、読んでも良く理解できないですな、ごめんなさい。

                      ウッキーが悪いのか、それともオリジナルの英文が良くないのか、、、

                       

                      それはきっと英文の方、ちょっと舌足らずではないのかなぁ〜

                       

                      皆さんも英和辞典片手に英訳に挑戦してみてください、台風で外出不能の折りにでも。

                       

                       

                       

                       

                       

                      | ukitama | - | 14:56 | comments(0) | trackbacks(0) | - | - |
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